電気と保安 2020年 冬季号 Vol.280 東北電気保安協会
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高圧事故件数[件]5H309H297H288H27※波及事故とは、工場・ビル・事務所の電気設備の故障、損傷等により電力会社の配電線を停止させ、停止した配電線に接続されている他のお客さまが停電する事故です。図2 高圧事故の推移図4 引込施設の事故発生部位比較18%21%(出典:令和元年警察白書)15高圧事故とは、高圧機器のトラブルでお客さま設備が全停電事故となったものをいい、図2のとおり年間約1,000件発生しています。お客さまからの緊急連絡で出動した結果、「全停電」であったのは平成30年度で652件であり(図1)、これに監視装置の警報や東北電力(株)からの連絡など、実際に現地に出向いたら高圧事故であったものを加えると921件(波及事故※の5件も含む)となります。これは、弊協会のすべてのお客さま軒数の1.67%となります。お客さま設備の高圧事故が、どの程度の発生頻度なのかをイメージしていただくため、図3に自動車による交通事故と比較してみました。その結果は、高圧事故の方が3倍以上の高い発生割合となっています。高圧事故が一旦発生するとその復旧作業は難しく、高圧機器が破損などしていると復旧に数日を要することもあります。受電設備の中で、高圧気中開閉器、引込線、高圧ケーブル等の引込施設は、状況によって波及事故につながるおそれがあります。引込施設は、引込柱などの屋外に設置されているもので、季節、気候などの影響を直接受けることになります。図4に引込施設の事故発生部位の割合を示します。この中では、“高圧気中開閉器”が18%、“地絡継電器”が22%と全体の40%を占めていることが分ります。高圧気中開閉器と地絡継電器は、高圧回路の漏電事故発生時に連動して自動的に電気を止め、周囲のお客さまへの停電拡散を防止するものです。しかし、これらの機器は長期の使用により経年劣化で電子部品が故障したり、落雷時には、異常電圧により地絡継電器内部が焼損する(写真1)ことがあります。22%高圧電気設備の事故(平成30年度)全国の自動車による交通事故1,6001,4001,2001,000800600400200[%]2.01.51.00.50.00図3 高圧事故と自動車事故の発生割合母集団1,3461,2341,1321,1231,0119871,2041,1131,3321,09899296720H2130H2219H2314H2419H25年度1.67高圧電気設備の事故(平成30年度)その他16%高圧気中開閉器ケーブル等支持物10%引込線13%年間事故数921件(平成30年)430,601件波及事故波及以外の高圧事故55,170軒(お客さま軒数)8,231万人(運転免許保有者数)1,1249589139211,11591690595125H260.52自動車による交通事故(平成30年)地絡継電器2 高圧事故3 引込施設の高圧事故

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