電気と保安 2020年 冬季号 Vol.280 東北電気保安協会
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表3 電気事業法遵守状況11電気事業法不遵守事項主任技術者の選任が行われていない【法第43条】事故の発生を知った時から24時間以内に速報が行われていない【報告規則第3条第2項】2件1件1件(4)電気事業法遵守状況平成30年度の立入検査において、前述の保安規程遵守状況及び技術基準の適合状況以外で電気事業法の不遵守が2事業場において確認されました(表3参照)。なお、過去の立入検査において電気関係報告規則に基づく、ばい煙発生施設に係る変更の届出漏れが見受けられています。ばい煙発生施設の設置者におかれましては、設置者の名称、代表者名、設置者の住所、事業場の名称、所在地等に変更があった場合、ばい煙発生施設を廃止した場合等には、遅滞なく届出をお願いします。また、PCB含有電気工作物についても電気関係報告規則により、以下の①~⑤に該当する場合、届出が義務付けられていますので、該当する場合は遅滞なく届出をお願いします。①PCB含有電気工作物であることが判明した場合②設置者の名称、代表者名、設置者の住所、事業場の名称、所在地等に変更があった場合③PCB含有電気工作物を廃止した場合④PCB含有電気工作物の絶縁油の漏洩事故があった場合⑤高濃度PCB含有電気工作物を毎年度末時点で設置又は有している場合平成30年度の自家用電気工作物の立入検査を実施した結果、保安規程遵守状況については32件、技術基準については4件の指摘を行い、立入検査を実施した13事業場のうち10事業場において、何らかの法令違反等が確認されました。実施したうちの7割以上の事業場において指摘事項が確認されるなど、電気工作物の保安に関する制度や、責任・義務といった基本的な事項についての認識・理解が不十分である事業場が多く見受けられました。一旦電気事故を発生させれば、自社においては生産活動等の停止に伴う金銭的損失はもちろんのこと、感電事故であれば死亡に至るケース、波及事故であれば周辺の需要家を停電させてしまうなど、社会的に大きな影響を引き起こしてしまいます。また、検査の中で経営コストの削減によって計画的な設備更新がなされず設備の老朽化が進んでいる事業場も見受けられ、このような状況を放置すれば将来的に電気事故につながる可能性が高まるものと考えられます。主任技術者や電気設備担当者等の皆様は、電気保安の専門家として保安業務に取り組んでいただくとともに、保安確保のために必要な措置について設置者の責任者に働きかけをお願いします。また、設置者におかれましては、自社で選任した主任技術者又は外部に委託した保安業務の担当者の点検等に立会って設備の状況を確認の上、計画的な設備更新を実施していただくようお願いします。「電気の保安」は関係する皆様方の一つ一つの実績の積み重ねで成り立っております。改めて電気保安の大切さ、電気事故の怖さを認識していただき、電気保安行政へのご理解とご協力をいただけますようよろしくお願いします。Ⅳ 総 括(まとめ)電気事業法において、自家用電気工作物を設置する者に求められている保安は、「自主保安体制」の確立です。この自主保安体制は、技術進歩や事業者の自主保安への認識の高まりなどの環境変化を背景に、これまでに幾度かの電気事業法改正を行い国の直接関与を必要最小限とし、自主保安を基本とした保安規制へと移行が図られてきたところです。

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