電気と保安 2019年 秋季号 Vol.279 東北電気保安協会
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天井照明周辺の雨漏り跡5絶縁監視装置の警報により、雨漏りによる漏電火災や感電事故を未然に防いだ事例を紹介します。〔状況〕7月初旬の雨上がりの夕方、お客さまの絶縁監視装置の警報が発報したと電気事故受付センターから連絡が入りました。出動前にお客さまに電話連絡したところ、「現在、雨漏りにより屋根の修繕工事中である」とのことでした。漏電による火災や感電があってはならないと思い、急いで現場に向かいました。〔調査〕警報発生から45分後に現場に到着し、早速、漏電箇所の探査に入りました。雨漏りによる漏電だとは思いましたが、別の原因の可能性もあることから、キュービクルから順番に調査していき原因を特定していくこととしました。まず、キュービクルで漏洩電流を測定したところ、1階電灯分電盤系統で漏電していることが判明しました。次に、当該分電盤へ移動し測定した結果、東棟並びに西棟の複数の照明回路に漏洩電流が多いことが判明しました。お客さまに危険性を説明し、漏洩電流が多かった複数の照明回路のブレーカーを開放し絶縁抵抗測定を実施した結果、全て0.01メグオーム以下で絶縁不良でした。測定結果から、お客さまに漏電による火災や感電の危険があることから、ブレーカーは投入できないことを説明したところ、「これから暗くなり、照明が点かないのは大変困る。なんとかならないか」とご相談があり、絶縁不良の照明器具を特定することとしました。しかし、照明器具を1台毎に電源線から外し、絶縁抵抗測定を行う作業を繰り返し行いましたが、一向に絶縁不良の照明器具は見つからず、とうとう最後の照明器具を測定しましたが、照明器具には異常ありませんでした。あとは配線の絶縁不良しかないと思い、配線の点検をするため天井を外していくと、大量の雨水が落ちてきます。すると、天井裏で完全に配線接続部が水没している箇所を見つけました。〔原因〕漏電の原因は、屋根の防水機能が経年により劣化したため、雨水が天井に浸水したことによるものでした。濡れた配線を拭き取り、絶縁が回復した箇所もありましたが完全ではなく、また、雨により天井に水が浸入すると、漏電が再度発生することをお客さまに説明し、絶縁が回復しない照明回路のブレーカーは開放のままとしました。また、屋根の改修工事が完了してからブレーカーを投入していただくようお願いしました。〔お客さまの声〕報告書を提出した際に「照明器具を1つ1つ外し原因の特定に尽力いただき感謝します。早急に屋根を改修し、安全に電気を使用したいと思います。」とお礼の言葉をいただきました。〔まとめ〕雨の多い時期は、雨漏りが原因の漏電が発生しやすくなります。点検時に雨漏りの跡がないかどうか確認し、雨漏り跡があった場合は、お客さまに説明し早めに改修していただくことが重要であると思いました。また、漏電による火災や感電を未然に防ぐことができてよかったと思います。仙台北事業所 高橋 聡雨漏りによる漏電〔復旧〕検査員の現場報告2

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