電気と保安 2019年 秋季号 Vol.279 東北電気保安協会
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漏電していた洗浄機漏電表示4お客さまへの問診から漏電箇所を発見できた事例を紹介します。7月上旬の午前7時頃、お客さまから「10階電気室で警報が鳴っている」と電気事故受付センターに連絡がありました。受付センターから連絡を受け、お客さまに電話連絡し状況を確認したところ、「電気設備に異常はないが、警報をリセットしても復旧しないので早く対応してほしい」とのことでした。約30分後にお客さまに到着したところ、すでに警報は停止していました。調査を開始すると、受電キュービクルの「保安動力盤№2」の“ブレーカー漏電”の表示が点灯しており、同盤内の「M7-2・M8-2」回路の漏電アラーム遮断器(漏電時はアラームのみ出力し、過負荷時及び短絡時は動作する配線用遮断器)で漏電表示を確認しました。連絡責任者の了解を得て、空調機械室のM7-2及びM8-2分電盤の低圧絶縁抵抗測定を行いましたが、測定値は50メグオームと異常はありません。前日から何度か警報が鳴動していることから、警報発生時間帯と当時の使用機器についてお客さまにお聞きしたところ、空調機器は常時運転しているが、洗浄室には必要の都度使用する洗浄機があるとの情報をいただきました。さっそく洗浄室へ向かい洗浄機を確認したところ、内部の電気回路を確認するにはメーカー専用の鍵が必要であり低圧絶縁抵抗測定ができませんでした。そこで、運転時の漏れ電流を確認することとし、7階と8階に2箇所ずつある洗浄室を測定したところ、8階の洗浄室1の洗浄機を運転すると500ミリアンペア漏電することが判明しました。感電事故に繋がるおそれがあることを連絡責任者に説明したところ、「同じ階にある別の洗浄機を使用するので電源を切ってほしい」とのことから、洗浄機専用のブレーカーを開放し到着してから約3時間30分後に仮復旧しました。翌日、洗浄機メーカーが修理した後に再度訪問し、漏電等異常がないことを確認しました。メーカーによると、洗浄機の内部ヒーターの防護カバーが経年劣化によりひび割れし、電源の充電部に水が浸入したことが原因とのことでした。「前日から警報が鳴っていたので心配だったが、早期に原因がわかり修繕することができたので安心しました」と感謝の言葉をいただきました。今回は、お客さまへの問診により、警報発生時間と使用機器の関連性から原因をしぼり込むことができました。改めて問診の重要性を再認識する機会となりました。五所川原事業所 横山 慎人〔状況〕〔調査〕〔原因〕洗浄機内部ヒーターの防護カバー劣化により漏電〔復旧〕〔お客さまの声〕〔まとめ〕検査員の現場報告1

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