電気と保安 2019年 秋季号 Vol.279 東北電気保安協会
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施宿貴3秋の峰入神子修行出羽三山歴史博物館国指定重要文化財三神合祭殿/神前御婚儀も執り行われる城は信仰の厚いところで、今でも出羽三山の信仰碑が多く残っています。 修験道の行法は、現在では出羽三山神社の祭事として続けられています。夏峰修行の盛期として開催される「例大祭花祭り」。「秋の峰入り」(8/26〜9/1)は全国から参加者が集まる盛大な修行で一般の人も参加できます。「神子修行道場」(9/6〜9)は女性のための修行です。─修行にはどんな意味が込められていたのでしょう。 修行の姿はいろいろあって、一般の人も修行に参加できます。その修行は講中の後継者の育成、また地域集落、現在の町内会長の役割を担い、将来を見据えたかたちで修行の役割が考えられていました。その修行に向かう参拝者を泊めて、参拝前に心身を清めるための宿が宿坊です。江戸後期には336坊もあったとされますが、現在は30坊です。 全国各地から出羽三山までの道程は数日を要したわけですが、霞場、壇那場の先達のもと出羽三山の宿坊に到着します。羽黒山を参拝、宿坊にて精進潔斎して早朝に月山に登り湯殿山を下りて、最後には精進落としと称して温泉地に泊まったのです。今の観光的視点で見たときに、この山伏による参拝は、経済効果・相乗効果が相当なものだったろうと思います。─歴史博物館にはどんなものが展示されていますか。 博物館は大正4年宝物館として設立され、昭和27年博物館法の指定を受け「出羽三山歴史博物館」と改称されました。収蔵する多くは神仏習合の修験道時代のものです。鏡池から古鏡が500面くらいは出てきたと言われ、博物館には平安から江戸時代の190面が保管展示されています。お参りに来られなかった女性が自分の心を写すものとして鏡をこの池に奉納したと言われ、それが古鏡として遺されたものです。 出羽三山では、さまざまなものが国宝や国の重要文化財、県や市の文化財に指定されていますので、境内地内の建物や設備などの維持管理は、社会的な役割を担う大きな課題となっています。 弊協会も、何事もなく安全にお使いいただけるようお手伝いさせていただいています。また、従業員の方向けの電気安全セミナーなども行っていますので、お声がけいただければと思います。本日は歴史を訪ねる貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。設・文化財の価値を守るために─設備の管理で気を配られていることなどありますか。 さまざまな文化財などを守る意味で、万が一にも貴重なものに被害が出ることがないよう日ごろから安全管理には十分注意を心がけています。とくに電気設備にかかわる部分では保安協会さんに本当に助けられています。自然災害などの時も、すぐ駆けつけていただき何より安心しているところです。坊に残る歴史の面影重な古鏡を収蔵する博物館1400年の神秘の歴史を紐解き新しい息吹を感じて巡り行く山岳の旅路

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