電気と保安 2019年 秋季号 Vol.279 東北電気保安協会
4/20

月山神社本宮出羽三山神社社務所─三つの山と神社についてお聞かせください。 出羽三山とは羽黒山、月山、湯殿山の総称で、月山には月山神社、羽黒山には出羽(いでは)神社、湯殿山には湯殿山神社があり、これらを総称して出羽三山神社といいます。羽黒山には三社の神を併せて祀る三神合祭殿と、宗教法人の社務所があります。 出羽三山は、明治以降は神社となりましたが、それまでは神仏習合の権現を祀る修験道の山でした。三つの山が「現在」「過去」「未来」を表すという「三関三度」の信仰は、出羽三山の特徴をよく表しています。すなわち羽黒山では現世利益を受け、月山で死後の体験をして、湯殿山で新しい生命をいただいて生まれ変わる、という類い稀な霊山として信仰されてきました。 かつて出羽三山の修験者、つまり山伏の勢力範囲は、東国33カ国に及んでいました。関東の千葉や茨出羽三山神社総理職執行百四代別当宮司 宮野 直生さま三神合祭殿今季号のお客さま─出羽三山神社さまの由緒についてお聞かせください。 出羽三山は、およそ1400年前の飛鳥時代に蜂子皇子によって開かれたとされています。蜂子皇子は32代崇峻天皇の皇子でしたが、崇峻天皇が蘇我馬子に暗殺されたため、聖徳太子の勧めで宮中から逃れ、丹後国由良(現・京都府宮津市)から日本海を北上して、出羽国の由良八乙女浦(現・山形県鶴岡市)に辿り着きます。上陸した浜は八人の乙女に迎えられたことに由来すると言われます。蜂子皇子は修行を行いながら東に進み、やがて三本足の大鳥、八咫烏(やたがらす)に導かれて深い山に分け入り、出羽三山を開いた。この故事によって開山の由緒としています。 一切の邪念を捨てて修行を重ね、羽黒山頂に籠って人々と国土の安寧をひたすら祈った、蜂子皇子の修行の姿が羽黒派古修験道として現在に受け継がれています。古くから山岳信仰の修験霊場として知られ、今なお全国から信仰を集める出羽三山。国宝五重塔をはじめ多くの文化財と、四季折々に豊かな表情につつまれる山々や自然が点在し、充実多彩な観光スポットとしても注目されています。本日は出羽三山神社 宮野 直生 宮司をお訪ねし、弊協会鶴岡事業所長 菅原 英記がお話をうかがいました。東北電気保安協会鶴岡事業所長菅原 英記湯殿山本宮現を祀る修験道の山山形県鶴岡市 出羽三山神社 さま行の末に出羽三山を開山修権2

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る