電気と保安 2019年 夏季号 Vol.278 東北電気保安協会
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構内第一柱 高圧ケーブル三叉分岐箇所の劣化状況絶縁体が露出している7月次点検時の目視点検において、高圧停電事故を未然に防いだ事例を紹介します。〔状況〕晴れた6月上旬、あるお客さまの月次点検にお伺いしたときのことです。高圧ケーブルの端末処理部分の形状に違和感があったため、双眼鏡で注視したところ、高圧ケーブル三叉分岐管付近で遮へい層銅テープがむき出しとなり、高圧ケーブルの絶縁体が本来当ててはいけない直射日光にさらされている状態を確認しました。早速、お客さまに高圧ケーブルの不具合状況をご説明したところ、更新を検討していただけることとなりました。その後、事業所に戻った私は、上司と同僚に事案について報告するとともに、高圧停電事故の未然防止のための検討をした結果、再度詳細をお客さまに報告するとともに、改修工事等に関わる提案をすることにしました。その日の夕方、同僚とともにお客さまを訪問し、店長さまと現場で打ち合わせを行い、高圧ケーブルの劣化が急速に進んでいると思われることから、このまま放置すると高圧停電事故に進展することを説明しました。店長さまは、突然の停電で営業に支障が発生することやお店のお客さまに多大な迷惑をかけてしまうことを強く心配され、翌日、弊協会と電気工事会社で高圧ケーブルの更新工事に関わる打ち合わせを実施いたしました。〔原因〕高圧ケーブルが20年以上経過していることに加えて、高圧ケーブルの三叉分岐箇所に雪国特有の雪が降り積もり、雪の重さで高圧ケーブルが押し曲げられ、その重さとストレスにより遮へい層絶縁体が劣化し銅テープが露出したものと考えられます。〔改修〕6月下旬の暑い日、弊協会立会いの下、高圧引込ケーブルの更新工事を実施しました。お客さまのキュービクルは6階建の屋上に設置されており、資材や機材の搬入に苦労はしましたが、予定時間より早く工事が完了し送電することができました。店長さまからは、「クーラーを多く使用する真夏の前に、高圧ケーブルの更新工事が出来て良かった。停電事故に至らず事前の対応で『事なきを得た』。早急に対応していただき、ありがとうございました」と感謝の言葉をいただきました。〔まとめ〕お客さまには、以前から高圧ケーブルの劣化状況と突然の停電が心配されることをお話していたことから、設備更新への関心が高かったこともあり、工事をスムーズに行うことができました。今後も、お客さまの電気設備が安定的に稼働できるよう、設備の点検と経年劣化等による計画的な設備更新の提案などを確実に実施してまいりたいと思います。日頃から、お客さまと日常的な会話をとおしてコミュニケーションに心がけ、日頃の点検と計画的な設備更新により「事なきを得る」よう、今後も取組んでまいります。若松事業所 泉 隆高圧ケーブルの早期更新とお客さまとのコミュニケーションの実践による事故防止〔お客さまの声〕検査員の現場報告2

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