電気と保安 2019年 冬季号 Vol.276 東北電気保安協会
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東東損傷した配線配線の損傷箇所をテーピングで補修し、フロアコンセントを戻しましたが、連絡責任者の方より「そのフロアコンセントは使用頻度が少ないので、使用しないことにします。ブレーカーは開放(切)したままにしてください」とのお話がありました。フロアコンセントは「使用不可」、ブレーカーには「投入禁止」をそれぞれ貼紙で明示し、到着から約1時間後に復旧しました。また、後日、ブレーカーから配線の切り離しを依頼され作業を実施しました。〔お客さまの声〕事故報告書提出時に、お客さまへ再度概要を説明したところ、連絡責任者の方は「火事にならなくて本当に良かった」と安堵の表情を浮かべられ、迅速な対応に感謝の言葉をいただきました。〔まとめ〕今回の事例は、フロアコンセント特有の無理な配線が原因の漏電事故でした。過去にも数多くのお客さまで、漏電や絶縁不良の発生原因になっています。絶縁監視装置の発報による対応で、火災や感電事故を未然に防ぐことができ、絶縁監視装置の必要性を改めて感じる事例でした。7医療機器販売のお客さまにて、絶縁監視装置の事故対応で漏電による火災を未然に防いだ事例を紹介します。〔状況〕9月の雨が降る午前10時過ぎ、電気事故受付センターから、お客さまの絶縁監視装置の警報が発報したとの連絡がありました。出動前にお客さまに電話を入れたところ、「設備に異常はないが、心配なのでなるべく早く対応してほしい」とのことでした。〔調査〕お客さまに到着し、改めて連絡責任者の方にその後設備に異常がないかお聞きしたところ、「特に異常はない」とのことでした。しかし、前回までの点検報告書を確認すると、絶縁不良回路の指摘事項があり、その回路が原因ではないかと考えました。まず、キュービクルで漏えい電流の測定から調査を開始しました。電灯変圧器回路で17アンペアという非常に大きな漏えい電流を確認し、これは危険な状態であると驚きを覚えました。急いで絶縁不良回路であるL-1電灯盤内「会議室コンセント回路6」の漏えい電流を測定した結果、同じく17アンペア漏電しており、連絡責任者の了解を得て当該ブレーカーを開放(切)しました。合わせて絶縁抵抗測定を行うと、測定値は0.01メグオーム(絶縁不良のレベル)でした。漏電していた会議室へ案内していただき、該当するコンセント回路の確認を行いました。手袋を外し触ってみると、思わず「熱い!」と叫ぶほど熱を帯びており、放射温度計で測定すると45℃でした。このフロアコンセントに間違いないと確信し、器具を外してみると、配線の被覆が破れ、コンセントの金属フレームに電線が接触しており、金属部分に黒く焼けた跡が残っていました。立ち会っていただいた連絡責任者の方に焼けた配線を見ていただき「このままの状態が続いていたら、火災の原因になりましたね」とお話しすると、「えっ!」と驚かれました。〔原因〕フロアコンセント特有の狭い空間での配線の接続であり、無理やり収納したことにより金属フレ―ムに接触し、配線が経年劣化により損傷し漏電に至ったものと考えられます。場所は、前回の指摘事項と同じ回路でした。仙台中央事業所 真野 健「熱い!熱くて触れないフロアコンセント」〔復旧〕検査員の現場報告2

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