電気と保安 2019年 冬季号 Vol.276 東北電気保安協会
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故障率出典:Reliability Modeling and General Redundancy Techniques, 1978, Bill D. Carroll(Ⅰ)初期故障期間:施設・設備の不具合要因(設計ミス等)による故障が使用の初期に顕在化する時期。(Ⅱ)偶発故障期間:初期故障がおさまった後、故障率がほぼ一定となる期間。(Ⅲ)摩耗故障期間、経年劣化期間:偶発故障期間に続き、故障率が漸次高くなる期間、設備の摩耗、疲労などにより寿命が尽きることによる。設備寿命を延ばすためには、この段階を迎える前に適切な維持補修が必要となる。(出典:経済産業省「産業事故調査結果の中間とりまとめ」H15.12.16)図5 設備経年数と故障発生率の関係(通称:バスタブ曲線)写真1 高圧気中開閉器写真2 地絡継電器ます。また、高圧気中開閉器本体の内部に雨水が浸入して、構内の停電事故に至る事例が少なくありません。その原因としては、雨や雪、太陽光等の自然環境の中で塗装が劣化することによる外箱の発錆や、ゴムパッキン(ガスケット)の経年劣化から気密性が低下し、本体内部発錆による腐食などがあります。さらに、本体内部の発錆により保護装置の機能が果たせない場合は、お客さま構内だけではなく、東北電力(株)の配電線を停止させる波及事故に繋がるおそれもあります。受電設備で使用する高圧機器は、使用開始から一定年数を経過すると故障率が極端に高くなってきます。図5に設備経年数と故障発生率の関係を表します。この図では、(Ⅰ)初期故障期間(Ⅱ)偶発故障期間(Ⅲ)摩耗故障期間、経年劣化期間の時間軸において、(Ⅲ)の期間における適切な維持補修投資が必要であるとされています。弊協会では、この(Ⅲ)の期間の前に予防保全の対策を講ずることが適切として、一般社団法人日本電機工業会が推奨する「汎用電気機器 更新のおすすめ」や各メーカーの更新推奨時期を目安に更新推奨しています。高圧事故による全停電は、生産活動のすべてをストップし、生産遅れに伴う補償、集中生産のための時間外労働手当の支払いなど、多額の経費発生が想定されます。不測の停電事故に至らぬよう高圧機器の計画的な更新を行い、高圧機器の健全性を適切に確保し、事故の未然防止をお願いします。14(Ⅰ)(Ⅱ)通常のメンテナンス(Ⅲ)適切な維持補修投資が必要時間4 高圧機器の適切な更新5 最後に

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