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東東損傷していたケーブル復旧後のケーブル5のもと電気工事会社で取替工事を行い復旧することができました。引き抜いた高圧ケーブルの外観を確認したところ、測定値不良であった高圧ケーブル(T相)に損傷箇所(擦れた様な痕跡)がありました。お客さまのお話によると、東日本大震災の時に構内第一柱が傾斜し、高圧ケーブルが引っ張られた可能性があるとのことでした。〔お客さまの声〕「年末年始の休業中の停電事故で、明日から操業開始できるか心配でしたが、皆さんの努力のおかげで設備復旧が間に合いました」と感謝の言葉をいただきました。〔まとめ〕今回の事故は、年末年始の連休中であり、さらに在庫があまりない太い高圧ケーブルの交換であったことから、本来であれば復旧にかなりの時間を必要とする事故でした。事故調査に協力していただいた電力会社さま、電気工事会社さま及びお客さまのご協力により、操業開始前日に設備復旧ができました。また、事故が起きてしまうと復旧に時間を要し、お客さまの操業に支障をきたすことから、日頃からの計画的な設備更新が重要であることを実感しました。年明け早々、高圧ケーブル損傷停電事故が発生し、緊急的に高圧ケーブルの取替えを要するも、電気工事会社、メーカー共に営業していないという厳しい状況で、操業開始前日に復旧できた事例を紹介します。〔状況〕今年1月の仕事始めの日の早朝、市内の製造業のお客さまから「工場内が停電している」と電気事故受付センターに電話連絡があり、事業所に緊急出動要請がありました。直ちに出動し現地に到着したところ、構内第一柱の地絡継電器が動作し、高圧気中開閉器(PAS)が開放していました。実は、前日も同様の事故で対応しており、その際は、絶縁劣化診断(6,000ボルト印加)を実施しましたが、測定した絶縁抵抗値は一括150メグオームと安定し、電気設備の外観上も問題がなかったことから受電復旧し、その後の異常もありませんでした。〔調査〕前日と同様に絶縁劣化診断(6,000ボルト印加)を実施したところ、絶縁抵抗値がほぼ0メグオームを示しており、受電設備のどこかで地絡事故(漏電)が発生していることが判明しました。原因を特定するため、高圧回路を分割し絶縁劣化診断を実施しました。高圧気中開閉器(PAS)負荷側から断路器(DS)の電源側間で測定値0メグオームであることから、電力計器用変成器(VCT)または高圧ケーブルのいずれかが原因と推測しました。〔原因〕電力会社に電話でVCTの切離しを依頼し、電力会社指定電気工事会社が当該機器を切離した後に分割測定した結果、高圧ケーブルの1線(T相)が原因で地絡事故を起こしていることが判明しました。〔復旧〕高圧ケーブルが原因と特定できたことから、電気工事会社やケーブルメーカーに電話連絡をとったものの、仕事始め前であることに加え、高圧ケーブルが150㎟と一般的に使用している規格より太く、同規格の高圧ケーブルの在庫がない状況から、復旧にはかなり時間がかかると思われました。そこに、当該お客さまの受電設備を施工した電気工事会社から「各関係取引会社に連絡をとり、何とか高圧ケーブルの手配がついた」との連絡がありました。1月6日に高圧ケーブルが現地に届けられ、弊協会立会い白河事業所 橘内 史貴東日本大震災の影響が数年経って現れた高圧ケーブル損傷が原因の全停電事故検査員の現場報告2

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