電気と保安 2018年 夏季号 Vol.274 東北電気保安協会
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変圧器東東クランプリークメーターによる漏洩電流測定現地の概略図漏洩電流50mA超過屋外屋内雨で濡れて電気の通り道ができた釘でケーブルを傷付ける漏洩電流1mA未満地面7壁に釘等を打つ時も注意が必要であることを再認識した事例を紹介します。〔状況〕7月の小雨が降る日中のこと、お客さまから低圧絶縁監視装置の警報が発報し、復帰ボタンで復帰するものの数分経つとまた警報が鳴るとの連絡を受けて出動しました。〔調査〕現地に到着し、連絡責任者に問診しましたが「普段通りで、停電などの異常はない」とのお話しでした。早速、原因を調査するため、キュービクルから点検を開始しました。クランプリークメーターを用いてキュービクル内の電灯変圧器の漏洩電流を測定したところ、測定値が安定せず時々警報レベルの50ミリアンペアに達する漏洩電流が検出されました。漏電していると思われる幹線ブレーカを特定し、送り先の分電盤で低圧絶縁抵抗測定を実施しましたが、異常は見つかりません。低圧幹線ケーブルが建物の側面に沿って設置されていることから、漏洩電流を測定しながらケーブルを辿っていきました。すると、建物に隠れる数mの間で漏洩電流が正常値(1ミリアンペア未満)になることを発見し、幹線の絶縁不良であることが判明しました。調査状況を連絡責任者に報告したところ、数日前に漏洩電流が正常値(1ミリアンペア未満)になる辺りで、傷んだ壁板の一枚を従業員が交換したとのお話がありました。お客さまにお願いをして交換した板を外してもらったところ、漏電は回復しました。〔原因〕壁板を外して確認したところ、低圧幹線ケーブルが釘で損傷していました。傷んだ壁板の交換をする際に、打ち付けた釘でケーブルを傷付けたのが原因で、壁板が乾燥しているときは漏洩電流が少なく低圧絶縁監視装置も発報しませんでしたが、今日のような雨で濡れたことで漏電により発報したものでした。連絡責任者からは「対応が早くて助かりました。漏電が原因で火災にならなくて良かったです。釘を打つ場合も気を付けなければならないですね。」と私どもの迅速な対応に感謝の言葉をいただきました。〔まとめ〕今回は、釘などを壁に打つ場合には、見えない所にも電線があるかもしれないと注意を払ってもらうことや、点検に伺った際の問診では、電気とあまり関係ないと思われるお話もお聞きすることにより、早期解決に繋がることを感じた事例でした。新潟東事業所 本間 健治分電盤見えない所に電線あり、一本の釘からの漏電〔お客さまの声〕検査員の現場報告2

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