電気と保安 2018年 夏季号 Vol.274 東北電気保安協会
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東東破砕機専用変圧器用高圧カットアウトスイッチ高圧カットアウトスイッチ内高圧ヒューズ6破砕機内に木材などが詰まったことにより、高圧停電事故に至った事例を紹介します。〔状況〕昨年8月下旬の午前9時頃、産業廃棄物処理のお客さまから「ブレーカーが動作し、投入しても破砕機が動かない」と電気事故受付センターに連絡があり、事業所に出動要請がありました。お客さまに電話連絡し状況をお伺いしたところ「破砕機用のブレーカーが何回か動作しその都度復旧しながら使用を続けていたが、最後にはブレーカーを投入しても動かなくなった」とのことでした。〔調査〕ご連絡をいただいてから20分後にお客さまに到着し、早速破砕機の電気制御盤まで案内していただき調査を開始しました。制御盤内主幹のブレーカー電源側の電圧を確認したところ0ボルトだったことから、電源元であるキュービクル内ブレーカー(600アンペア)の確認を行いました。ブレーカーは切れていませんでしたが、破砕機専用変圧器の電圧計が0ボルトを表示していました。そこで、キュービクル内高圧機器の外観点検を実施したところ、破砕機専用変圧器(二次側400ボルト)用高圧カットアウトスイッチの高圧ヒューズ2本が溶断しているのを発見しました。また、移動して破砕機内部を確認すると、歯車に竹などが絡み木材が大量に詰まった状態で停止していました。〔原因〕破砕機内に木材などが詰まったことにより、モーター(130キロワット)に長時間定格以上の電流が流れ、ブレーカーが動作したものです。また、同じ日に数回同様の現象が発生したため、破砕機専用変圧器の高圧ヒューズに過電流が流れ溶断し、同回路が停電に至ったものと考えられます。〔復旧〕高圧設備の事故であることから、直ちに事業所に応援要請を行い、20分後に到着した同僚と二人で、過負荷状態となった破砕機専用変圧器の内部点検を実施しました。点検の結果、異常が認められなかったことから、高圧ヒューズの取替えを行うとともに、お客さまから破砕機内部の木材等を取り除いていただき復旧しました。「まさか、破砕機が原因で高圧事故に至るとは思っていませんでした。迅速な対応により長時間待機することなく操業できました」と感謝の言葉をいただきました。〔まとめ〕お客さまの電気設備は、常に安全安心で使用されるよう日頃の点検で確認しておりますが、今回のように直接電気設備に関わらない事象でも電気事故は起こります。私たちは、万が一に備え、常に迅速・安全に復旧することを考え、これからもお客さまのご期待に応えられるよう日々精進してまいります。東根事業所 三浦 誠《イメージ》高圧ヒューズ2本溶断低圧側過負荷によって発生した高圧停電(一部)事故〔お客さまの声〕検査員の現場報告1

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