電気と保安 2018年 夏季号 Vol.274 東北電気保安協会
5/20

伊達鶏もも肉・むね肉伊達鶏ローストチキン3山下:なるほど、最初は流通の面で農業を支えようとしていたけれども、より安定的な収入を目指して鶏の生産に移っていったということですか。清水:そうです。「農は国の基」という考え方は、会社の理念として今も生きています。社業は少しずつ生産が広がり増えていくんですが、その後、私の父親で今の会長に代が代わりました。その頃には「ここの鶏は同じブロイラーでもおいしい」と評価されるようになっていました。そこで独自の鶏をつくろうと自分たちで研究して、フランス料理人の方ともご縁ができて、農家さんと一緒にフランスに行ったんです。世界一と言われていたフランスの「ブレス鶏」を勉強しようという目的でした。当初はブレス鶏をそのまま持ってこようとしたようですが、向こうの人から「考え方は教えられるけれど、どういう鶏の種類にしたらいいかというのは、その土地その土地に合ったやり方があるんだ」と言われたようです。そこで地元の鶏を使ってさらに研究を深め、最終的に「鶏を健康に元気にすればいい、健康な鶏は結局うまいんだ」という結論となり、今の伊達鶏に行き着いた。それが昭和60年くらいでした。山下:その頃に今の基本的な伊達鶏のかたちが決まった、つまりブランドができたということですね。清水:そうです。当時は生産だけだったんですが、その後、自分たちでも売っていこうということになりました。ケンタッキーフライドチキンへの供給も始めることになり、伊達鶏の他にケンタッキーサイズのものと、一般のブロイラーと、主に3種類の鶏を出すことになり、それは今も続いています。山下:伊達鶏の特徴としてはどのようなものがありますか。用途によって、鶏を育てる年数など管理の仕方が違うということを聞きましたが。清水:そうなんです。伊達鶏の中でもいろいろなサイズがありまして、例えば、焼き鳥屋さんだと大きいオスがいいと言われます。歯応えなど肉質を重視するんですね。フランス料理では大きいメスなんです。脂がのっていて、煮込んだりソースをとったりするのに良いダシが出るんです。小さい鶏が良いというのは、水炊き屋さんです。このように用途に向けて、求められている肉質が違います。これが当社の独自性といいますか、お客さまの要望に合わせて、サイズやオス・メスを変えながら対応するということが強みとなっています。山下:先ほど「健康な鶏」というキーワードを話されましたが、一定の広さで育てる鶏の数を管理したり、飼料を何にするか、あるいは環境面からも管理をして、「健康な鶏=おいしい鶏」をつくるということでしょうか。清水:そうですね。「よく食べ・よく遊び」、つまりきれいな場所でよく食べさせて、よく遊ばせおいしい鶏は、健康な鶏農は国の基。その精神を守り抜き、作物に頼らず良質なブランド鶏をつくりあげた。

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る