電気と保安 2018年 冬季号 Vol.272 東北電気保安協会
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東東6鳥獣類が受変電設備に侵入することにより、停電の危険性があることを認識した事例を紹介します。〔状況〕9月の末、平日の夜中23時頃、24時間操業しているお客さまから「構内が全停電している」と弊協会に連絡が入りました。当日の出動当番だった私は、電気事故受付センターから緊急出動の要請を受け、取り急ぎ同僚より先にお客さまのところに向かいました。約1時間後お客さまに到着すると、構内は真っ暗で懐中電灯を持った従業員の皆さんが待機していました。現場から東北電力(株)に電話をして、配電線に異常はないことからお客さま構内のみの停電であることを確認しました。〔調査〕応援者が来る前に、お客さまに停電したときの状況をお聞きしたところ、「特に変わったことはなく、突然停電した」との回答でした。まず受変電設備から調査を始めました。外観点検を実施しましたが異常はありません。次に高圧絶縁抵抗計を用いて高圧絶縁抵抗測定を実施しました。高圧気中開閉器負荷側から高圧機器一括測定したところ、2,000メグオームと測定結果は異常を認められません。後に合流した同僚と再度、構内第一柱と電気室の二手に分かれて受変電設備の外観点検を実施しました。私は構内第一柱周辺の点検を実施し、同僚には電気室内受変電設備の点検を実施してもらいました。構内第一柱周辺及び高圧気中開閉器、高圧ケーブル等には異常を認められません。しばらくして電気室にいた同僚から「LBS(高圧交流負荷開閉器)にヘビが絡んでいる」と叫び声がし、私も電気室に向かいました。LBSを見ると、ヘビが焼け焦げた状態でぶら下がっていました。〔原因〕電気室内にヘビが侵入し、高圧交流負荷開閉器によじ登り露出している端子部に接触したことにより、引込柱設置の地絡継電器が動作し停電に至ったものです。ヘビを端子部から取り除くとともに、侵入路と思われる隙間を塞ぎ、午前1時50分に復旧しました。〔お客さまの声〕「深夜にも関わらず連絡してから復旧までが早く、保安協会の迅速な対応で助かりました」と、感謝のお言葉をいただきました。〔まとめ〕今回は、ヘビが電気室に侵入し受変電設備に絡んだことで停電し、お客さまは一時的に操業停止を余儀なくされました。通常の点検時は、受変電設備に目がいきがちですが、鳥獣類が侵入してくるどんな小さな隙間も見逃さないようよう確認が必要だということを再認識した事例でした。お客さまにおかれましても、小さな隙間等を見つけましたら、弊協会にご連絡をよろしくお願いいたします。ヘビが感電しぶら下がっている高圧交流負荷開閉器(※お客さま機器と同様の機器)〔復旧〕ヘビが侵入して受変電設備(高圧交流負荷開閉器)に絡まったことが原因で全停電弘前事業所 清水 卓検査員の現場報告1

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