電気と保安 2018年 冬季号 Vol.272 東北電気保安協会
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故障率14また、高圧気中開閉器は、雨や雪そして太陽光等の自然環境の中で塗装の劣化が進み、錆が発生し最後には内部に水が浸入して事故に至る事例も少なくありません。さらに、内部の発錆により機能が果たせない場合、東北電力(株)の配電線を止める波及事故に繋がるおそれもあります。受電設備で使用する高圧機器は、使用開始から一定年数を経過すると故障率が極端に高くなってきます。図5に設備経年数と故障発生率の関係を表します。この図では、(Ⅰ)初期故障期間(Ⅱ)偶発故障期間(Ⅲ)摩耗故障期間、経年劣化期間の時間軸において、(Ⅲ)の期間における適切な維持補修投資が必要であるとされています。弊協会では、この(Ⅲ)の期間の前に予防保全の対策を講ずることが適切として、一般社団法人日本電機工業会が推奨する「汎用電気機器 更新のおすすめ」や各メーカーの更新推奨時期を目安に更新推奨しています。高圧事故による全停電は、生産活動を全てストップし、生産遅れに伴う補償、集中生産のための従業員への残業代支払いなど、多額の費用発生が想定されます。不測の停電事故に備えて高圧機器の計画的な更新を行い、高圧機器の健全性を適切に確保し事故の未然防止をお願いします。(Ⅰ)(Ⅱ)通常のメンテナンス(Ⅲ)適切な維持補修投資が必要時間出典:Reliability Modeling and General Redundancy Techniques, 1978, Bill D. Carroll(Ⅰ)初期故障期間:施設・設備の不具合要因(設計ミス等)による故障が使用の初期に顕在化する時期。(Ⅱ)偶発故障期間:初期故障がおさまった後、故障率がほぼ一定となる期間。(Ⅲ)摩耗故障期間、経年劣化期間:偶発故障期間に続き、故障率が漸次高くなる期間、設備の摩耗、疲労などにより寿命が尽きることによる。設備寿命を延ばすためには、この段階を迎える前に適切な維持補修が必要となる。(出典:経済産業省「産業事故調査結果の中間とりまとめ」H15.12.16)図5 設備経年数と故障発生率の関係(通称:バスタブ曲線)写真1 高圧気中開閉器写真2 地絡継電器4 高圧機器の適切な更新5 最後に

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