電気と保安 2018年 冬季号 Vol.272 東北電気保安協会
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11(4)電気事業法遵守状況平成28年度の電気事業法の不遵守が確認された事業場ついては、1件ありました。内容は、巡視点検頻度について保安規程と実態が異なっているものです。これについては、保安規程の変更届出が必要となります。また、電気事業法等の届出に関して、昨年、PCB含有電気工作物に関する手続きの様式等が一部変更されております。特に使用中のPCB含有機器を以下により廃止した場合は、忘れず届出をするようお願いします。①既にPCB含有電気工作物設置等届出書を提出したものを廃止した場合②新たにPCB含有電気工作物であることが判明し、直ちに当該電気工作物を廃止した場合③PCB含有電気工作物を使用している事業場を譲渡した場合④使用中のPCB含有変圧器であって、課電洗浄を行い、PCB含有濃度が0.3mg/kg以下となった場合平成28年度の自家用電気工作物の立入検査を実施した結果、保安規程遵守状況については8件、技術基準については4件の指摘を行い、立入検査を実施した10事業場のうち6事業場において、何らかの法令違反等が確認されました。実施したうちの6割の事業場において指摘事項が確認されるなど、電気工作物の保安に関する制度や、責任・義務といった基本的な事項についての認識・理解が不十分である事業場が散見された結果となりました。電気事故を発生させれば、自社においては生産活動等の停止に伴う金銭的損失はもちろんのこと、感電事故においては死亡に至るケース、波及事故においては周辺の需要家を停電させてしまうなど、社会的に大きな影響を引き起こしてしまいます。また、検査の中で経営コストの削減によって計画的な設備更新がなされていない事業場等も確認され、このような状況を放置すれば将来的に電気事故につながる可能性はますます高まると考えられます。是非、電気主任技術者は、保安の責任者として積極的に経営者等とコミュニケーションを図り、計画的に設備改修するよう上層部に働きかけをお願いします。また、設置者におかれましては、選任又は委託した担当者が確実に保安業務を担っているか等、点検等に立会い設備の状況を確認し、必要に応じて計画的な設備更新を実施していただきたいと思います。「電気の保安」は関係する皆さま方の一つ一つの実績の積み重ねで成り立っております。改めて電気保安の大切さ、電気事故の怖さを認識していただき、電気保安行政へのご理解ご協力をいただけますようよろしくお願いします。Ⅳ 総 括(まとめ)電気事業法において、自家用電気工作物を設置する者に求められている保安は、「自主保安体制」の確立です。この自主保安体制は、技術進歩や事業者の自主保安への認識の高まりなどの環境変化を背景に、これまでに幾度かの電気事業法改正を行い国の直接関与を必要最小限とし、自主保安を基本とした保安規制へと移行が図られてきたところです。

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