電気と保安 2017年 秋季号 Vol.271 東北電気保安協会
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16今回は、太陽光発電設備の使用前自己確認における技術支援事例をご紹介いたします。出力500kW以上2,000kW未満の太陽光発電設備に対し、「使用前自己確認」制度(電気事業法施行規則第76条平成28年11月30日付け施行)が導入され、発電設備が完成したとき、電気設備に関する技術基準への適合について設置者が自ら確認を行い、使用(営業運転)を開始する前にその結果を国に届け出る必要があります。弊協会は、太陽光発電設備の「使用前自己確認」の実施並びに国への届出について、受託業務又は試験業務として実施可能であり、各支部・事業所で試験を実施しております。制度の導入以降、平成29年2月から5月にかけ総合技術センターから支部・事業所の技術支援として行った5件の中から、5月に実施した試験を例に現地で行った試験項目の概略と試験の実施内容についてご説明いたします。設備の概要は、発電所出力1,995kW、パワーコンディショナ(以下「PCS」という)3台で計1,995kW(出力制限あり)、モジュールの合計出力は2,268kWでした。使用前自己確認の項目には、「外観点検」「接地抵抗測定」「絶縁抵抗測定」「絶縁耐力試験」「保護装置試験」「遮断器関係試験」「総合インターロック試験」「制御電源喪失試験」「負荷遮断試験」「遠隔監視制御試験」「負荷試験(出力試験)」(対象外は除く)があり、太陽光発電設備を仮連系(電力会社との売買契約が発生しない受電及び運転状態)の前に実施する試験と、仮連系の後に実施する試験があり、当日は仮連系後の運転状態において以下の項目の試験を行いました。なお、試験方法については、「使用前自主検査及び使用前自己確認の方法の解釈」(経済産業省 20170323商局第3号 平成29年3月31日)に基づき実施しております。①総合インターロック試験発電設備を軽負荷運転させ、総合インターロックが作動する原因となる電気的要素及び機械的要素のそれぞれについて事故を模擬し、これに係る保護継電装置を実動作又は手動で接点を閉じて動作させる。連系運転状態において系統の停電及び地絡過電圧継電器(OVGR)動作時にPCSが正常に停止し、再運転せず、関係する各遮断器類が遮断し、警報復帰の後に投入できることを確認しました。その他、連系中にPCS非常停止となった場合の動作や、正常に復帰するかについて確認しました。発電設備を運転中に制御電源を喪失させたときに過渡変化する主要パラメータの測定並びに遮断器、開閉器等の開閉の状況、警報の発生及び表示等を確認する。総合インターロック試験、負荷遮断試験等に合わせて実施することができ、制御電源遮断時のPCSの状態、遮断器等の開閉の状況、警報の発生及び表示等を確認しました。発電設備出力の1/4負荷運転状態から負荷遮断し、異常のないことを確認した後、順次2/4、3/4、4/4負荷運転まで段階的に試験を行う。発電電圧について、過渡変化を記録できる測定機器により確認する。なお、必要な負荷運転での現地試験実施が困難であった場合は、工場試験の結果から判断して支障な②制御電源喪失試験③負荷遮断試験a 試験の方法a 試験の方法b 実施内容a 試験の方法b 実施内容太陽光発電設備の使用前自己確認に係る技術支援

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