電気と保安 2017年 秋季号 Vol.271 東北電気保安協会
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東東ハンドグラインダー工場で使用していた機器が漏電し、感電の危険性が高かった事例を紹介します。〔状況〕10月の晴れた日の日中の出来事です。午後2時40分頃、ある製造工場のお客さまで低圧絶縁監視装置の警報が発生し、電気事故受付センターから出動要請があり調査に伺いました。連絡責任者との電話対応では、「工場は普段どおり稼動しており、停電や異常はない」とのお話しでした。〔調査〕40分後に現場に到着し、再度連絡責任者に問診しましたが「工場内に異常はなく問題ない」との回答でした。直ちにキュービクルから調査を開始しましたが、100V回路を調査中に警報が解消し原因特定が難しくなりました。警報は解消しましたが、危険な状態で使用している機器はないか目視による点検を継続していると、再度警報が断続的に発生しはじめました。クランプリークメータ(漏れ電流測定器)を使用して粘り強く調査した結果、100Vコンセント回路で漏電しており、コンセントで使用していたハンドグラインダーが原因だとつきとめました。漏電の度合いを調べるため、ハンドグラインダー本体の絶縁抵抗値を測定したところ、0MΩで絶縁不良でした。〔原因〕点検の際、ハンドグラインダーの外観、動作は正常でしたが、絶縁抵抗測定により判明したとおり、長年の使用により機器内部に鉄粉が入り、モーター部の絶縁抵抗が低下し漏電していたものです。漏電が断続的に発生した原因は、ハンドグラインダー本体を金属製のスタンドに置いていたため、スタンドを通して漏電し、持ち上げると漏電が止まるという状態が繰り返されていたためでした。[復旧]お客さまには、このまま使用すると感電のおそれがあるため、ただちに使用を中止して、修理をしてからのご使用をお願いしました。〔お客さまの声〕電気設備担当の方は、普通に今まで使用していた機器が漏電していたことに驚いており、何もなかったことにほっとした様子で「感電せずにすんで安心しました」と安堵の表情を浮かべ、感謝のお言葉をいただきました。〔まとめ〕今回の事例は、作業員の方々が厚い皮手袋を着用し作業をしていたため幸い感電を免れていた事例です。素手での使用や、素肌が接触していたら感電するという非常に危険な状況でした。また、ハンドグラインダーにはアース線があり、確実に取付けていれば漏電遮断器が動作し安全が確保できたものです。日ごろの点検、機器アース取付け及び漏電遮断器設置の重要性を再確認した事例でした。スタンドフレームより地面に電気が流れ漏電する地面に触れず電気が流れないため漏電しない繰り返し4新庄事業所 八鍬 昭一知らずに使用していた機器からの漏電 ~アース線と漏電遮断器の重要性を再認識~検査員の現場報告1

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