電気と保安 2017年 秋季号 Vol.271 東北電気保安協会
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小こ坂さか町まちは、秋田県の北東に位置し、神秘の湖・十和田湖を有している町です。藩政期には南部盛岡藩に属し、鉱山と豊富な森林資源に恵まれた秋田・津軽との藩境の村でした。江戸時代末期に発見された小坂鉱山の発展により、大正初期には人口2万数千人を抱える秋田県第二の都市に発展しました。小坂鉱山事務所康楽館小坂鉄道レールパーク(写真提供)小坂町観光産業課[国重要文化財 明治の芝居小屋 康楽館]康楽館は、明治43年(1910)に小坂鉱山に働く従業員とその家族の福利厚生施設として建設されました。現在は、十和田湖に代表される美しい自然、そして鉱山の歴史に彩られた近代化産業遺産の建物群が独特の風景を作りだす、人口約5,300人、世界に誇る小坂鉱山の技術を活かしたリサイクル関連産業と観光の町です。[国重要文化財 小坂鉱山事務所]打(じょううち)芝居」に多くの見物客が訪れて賑わっています。町の中心部にある小坂鉱山事務所は、明治38年(1905)に建設された小坂鉱山の全盛時代を感じることができる生きた文化遺産です。およそ一世紀の平成9年(1997)まで、現役事務所として利用され、すべて天然秋田杉造りとされる木造3階建て延床面積2,596㎡、ルネッサンス風の外観意匠を今に残す、大鉱山のシンボルでした。現在は、明治洋館の雰囲気漂う中でレンタルのドレスを着用しての写真撮影や、昔の洋食屋さん風のレストランで食事を楽しむこともできます。また、アカシアの蜂蜜や地場産ワインなど町の特産品を多数取り揃えた売店も設けられています。外観が洋風、館内が純和風の和洋折衷の芝居小屋です。当時としては画期的な電気による照明設備や人力による回り舞台などの舞台装置を備えた「東北一の芝居小屋」と呼ばれました。伝統的な形式の中に優れた洋風意匠を取り入れた明治の芝居小屋として歴史的価値が高く、小坂鉱山と鉱山町の繁栄を物語る遺構としても貴重であると認められ、平成14年5月、国重要文化財に指定されました。いまなお現役の芝居小屋として、当代随一の役者による歌舞伎大芝居や、春から初冬の頃までほぼ毎日催される「常小坂鉄道は、小坂鉱山の発展とともに増大した貨物等の運搬のため、明治41年(1908)に開通させた鉱山鉄道で、さらに翌年には一般営業を目的に小坂鉄道株式会社を設立し、大館までの鉄道営業を開始しました。これにより、小坂鉱山の輸送能力は飛躍的に拡大し、明治末期には鉱産額日本一となるその礎を築きました。貨物車牽引の三重連、四重連運転は国内唯一ともいわれ、鉄道ファン必見の人気路線でした。その後の車社会の到来により、平成6年9月には旅客部門が、さらに鉱石製錬からリサイクル金属製錬へのシフトにより、平成21年に貨物部門も廃止となりました。残された鉄道施設や鉄道車両は小坂町などに譲渡され、平成26年6月に「小坂鉄道レールパーク」としてオープンしました。日本における鉄道の歴史資料展示、全国的にも珍しい機関車の運転体験や家族で楽しめるレールバイク、今は懐かしい「ブルートレインあけぼの」への宿泊(要事前予約)もできるなど、鉄道ファンならずともぜひ訪れてみたい魅力的な場所となっています。[産業遺産 小坂鉄道レールパーク]17大館事業所(秋田県)◎秋田県鹿角郡小坂町■交通手段/[高速バス利用]盛岡駅より所要時間約1時間30分『小坂高校前停留所』下車、徒歩15分またはタクシー3分        [自動車利用]東北自動車道小坂ICより約3分■問い合わせ先/小坂町観光産業課 ☎0186-29-3908 URL:http://www.town.kosaka.akita.jp『鉱山が残した町』小坂町

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