電気と保安 2017年 夏季号 Vol.270 東北電気保安協会
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東東開放状態になっていた揚水ポンプのブレーカー7調査をする前にお客さまから教えていただいた情報により、迅速に復旧することができた事例を紹介します。月曜日の朝8時20分頃、お客さまから「先週まで出ていた水が急に出なくなったので見てもらいたい」と連絡が入りました。日頃から点検に伺っているときに「何かあったら保安協会へ連絡してください」とお話をしているものの、電気とどんな関係があるのかと不思議に思いながら出動しました。約20分後にお客さまに到着して、連絡責任者の方にどのような状況かお伺いしたところ、「現在、水が出ないことで飲料はもちろん、トイレにも支障が生じている。一刻も早い復旧をお願いしたい」とのお話がありました。また、最近変わったことがなかったかお尋ねしたところ、「日曜日に消防用設備の点検を行った。凍結や停電もなく無事終了した」とのお話をいただきました。早速、給水設備から調査を開始しました。お客さまの給水設備は、1階に設置している受水槽タンクから3階屋上の高架水槽へ揚水ポンプを使用して水を汲み上げ、落差を利用して各設備に給水する仕組みです。屋上に上がり高架水槽を覗いたところ、水槽が空になっているではありませんか。水を汲み上げる揚水ポンプの電源を確認するため、1階のキュービクルの動力配電盤を確認したところ、揚水ポンプを含む一般動力主幹ブレーカーが開放状態になっており、揚水ポンプに電気が供給されていないことが判明しました。なぜブレーカーが開放になったのか?様々な原因を考えていると、問診のときに連絡責任者の方がお話をされていた、日曜日に消防用設備の点検を実施したことを思い出しました。消防用設備の火災信号が発報すると、消火栓ポンプ等の非常電源を優先するため、一般動力回路を自動開放する設計となっていることを思い出し、それが原因と推定しました。ブレーカーの電源側電圧及び負荷側に異常がないことを確認した後、ブレーカーを投入して揚水ポンプの起動及び水が出ることを確認しました。連絡責任者の方に状況をお伝えしたところ、「転勤して初めての事象で知らなかった。迅速な復旧対応と非常時の回路構成を理解することができた」と感謝の言葉をいただきました。今回は、連絡責任者の方から教えていただいた情報により、迅速に復旧することができた事例でした。また、最初は水と電気で一見関係ないと思いましたが、貯水、揚水及び配水には「電気」が必須だということを改めて認識するとともに、非常時の回路構成、対応方法も事前にお客さまにご理解していただくことが大変重要だと感じました。燕三条事業所 小林 武志〔状況〕〔調査〕〔原因〕急に水道の水が出ないと連絡が、水と電気に関係が?! ~問診の重要性を実感~〔お客さまの声〕〔まとめ〕検査員の現場報告2

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