電気と保安 2017年 夏季号 Vol.270 東北電気保安協会
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※デマンド値:‌‌30分単位の平均需要電力の値。契約電力が500kW未満の場合、その月(当月)の最大デマンド値と過去11か月の最大デマンド値のうち、いずれか大きい値が契約電力となる。電気料金の基本料金を決定するもととなる。システム概要図株式会社チノー山形事業所さま自動制御している空調室外機取引用電力量計警報信号を受信し室外機を制御空調室外機無線ⅠOユニット無線ⅠOユニットデマンド監視装置警報信号無線通信1今回ご紹介する株式会社チノー山形事業所さまは、温度計を始めとする工業向け計測機器の開発・生産を行っており、近年では、チノーグループで使用される各種計測機器の大半を山形事業所で生産しています。株式会社チノー山形事業所さまは、冷暖房を全て電動機駆動式のエアコン(EHP)で賄っており、特に暖房時のエアコンの稼働率が高く、年間のピーク電力は冬季に発生しています。株式会社チノー山形事業所さまからデマンド値※を低減させ、契約電力及び電気料金を削減したいとのご相談があり、ピーク電力が冬季の一時期(特に暖房使用開始直後)に発生していることに着目し、デマンド監視装置を利用した「空調機の自動制御システムの導入」を提案いたしました。〔システムの概要〕①‌‌デマンドの予測値が目標デマンド値を超過すると判断した場合、デマンド監視装置が警報を発報するとともに、空調室外機に取付けた制御機器に警報信号を送信します。②‌‌警報を受信した制御機器は、空調室外機の圧縮機の運転を制御(一時的に制限)し、デマンド値の超過を防止します。③‌‌空調室外機の制御により、実際のデマンドの予測値が目標デマンド値を下回ると、デマンド監視装置の警報が解除され、空調室外機の運転も警報発生前の状態に自動的に戻ります。なお、今回は、デマンド監視装置で警報が発生した場合の空調室外機までの信号通信を、有線ではなく無線にすることで、工事費の削減を図りました。契約電力の決定は電力会社との協議によることから、デマンド監視装置による自動制御の効果により導入前に比べて80kW削減し、再契約することができました。(570kW→490kW)また、これにより契約電力が500kW以下となったため、電気料金の契約プランが変更となり、契約電力の基本料金単価も約30%安くなりました。(高圧電力→高圧電力S)この結果、基本料金を約40%削減することができました。お客さまからは「デマンド警報発生時の人手による負荷制御(空調機)をする手間が省けて助かっている」と喜びの声をいただきました。東根事業所〔システム導入の経緯〕〔導入の効果〕空調機の自動制御システムの導入による電気料金の削減~株式会社チノー山形事業所さまの省エネの取組み~

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