電気と保安 2017年 春季号 Vol.269 東北電気保安協会
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東東炎がでていた高圧ケーブル端末部消火後の状態設備更新を計画的に実施することの重要性を痛感した事例を紹介します。〔状況〕4月の雨が降る18時45分頃、お客さまから「構内が全て停電した」と弊協会に電話がありました。お客さまの構内は広く、高圧架空電線もあり原因調査に時間を要することが予想されたことから、事業所に残っていた私を含めた5名でお客さまのところへ向かいました。お客さまから電気室等の鍵を借用し高圧受電設備の確認をしたところ、引込柱に設置している地絡継電器の動作により高圧気中開閉器(PAS)が開放(切)していました。お客さまにお話を伺ったところ、停電発生時は業務も終了しており、特に変わったことはなかったとのことでした。〔調査〕お客さま設備は、キュービクルが2箇所あることから、二班に分かれて外観点検から実施しました。すると第二キュービクルを点検していた検査員から、携帯電話に「キュービクルの中で高圧ケーブル付近が燃えている」との連絡が入りました。第二キュービクルに移動して状況を確認したところ、まだ少し炎が出ていたことから消火活動を行い、火が消えた後に設備の状況を確認したところ、高圧ケーブルの端末部が焼損していました。〔原因〕焼損した高圧ケーブルは、1988年製造で経年劣化が進んでいたことと、以前からキュービクルの屋根が腐食によって穴が開いていたことから、雨漏りにより水に濡れたことで、高圧ケーブルの絶縁が破壊され相間短絡(ショート)し焼損に至ったと考えられます。(高圧ケーブルの更新をお奨めする目安:25年)〔復旧〕第一キュービクルは異常がないことを確認できたことから、お客さまのご了解をいただき、到着してから約1時間後に受電し仮復旧しました。第二キュービクルについては、後日、お客さまから電気工事会社に高圧ケーブル交換を依頼して全て復旧しました。「保安協会の迅速な対応で、電気設備の一部が復旧したことにより、商品の出荷に影響がなくて助かりました。高圧ケーブルの交換とキュービクルの腐食による穴については、電気設備点検報告書に指導事項として記載されていたが、老朽化と雨水によって焼損に至るとは考えていませんでした。キュービクルや高圧機器の計画的な設備更新が必要なことを改めて感じました。」と感謝のお言葉をいただきました。〔まとめ〕今回の事例は、地絡継電器の確実な動作により高圧気中開閉器が開放し、近隣のお客さまへの停電につながる「波及事故」は防止できました。しかし、突発的な停電事故が発生すると、復旧まで多大な時間を要すこともあります。私たちも、これまで以上に高圧受電設備の計画的な更新の重要性をお客さまに分かりやすく説明し、電気事故の未然防止に努めていきたいと思います。5仙台南事業所 三浦 靖浩経年劣化と雨水が原因で全停電 ~検査員5名で探査し、早期に仮復旧~〔お客さまの声〕検査員の現場報告2

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