電気と保安 2017年 春季号 Vol.269 東北電気保安協会
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常設展示「収穫の風景」2代目新潟市庁舎の外観を模した博物館本館新潟まつりに出陣した「歴史資料の山車」─ 博物館本館にはレトロな雰囲気が漂っていて、施設の特徴がよく表現されていますね。 これは明治43(1910)年に竣工した新潟市役所の2代目庁舎をモデルにしています。当時、新潟市を代表する洋風建築で、街の近代化の象徴でもありました。残念ながらその庁舎は昭和8(1933)年に焼失しています。 港町である新潟には、かつて街の中に舟が通る堀割が整備されていました。堀には柳が植えられ、それが街の情緒を醸し出していました。2代目庁舎は西堀と呼ばれた堀に面していたことから、博物館本館の前面には西堀に見立てた堀が整備されています。ほんの一角ですが、新潟情緒が味わえるのではないでしょうか。 また、最近では博物館本館の外壁がプロジェクションマッピングに利用されるようになりました。レトロな雰囲気で独特の凹凸のある壁が映像の投射に向いているようです。ですか。 NHKの「ブラタモリ~新潟は“砂”の町!?~」で紹介されたように、新潟には海岸に沿って長大な砂丘があります。これは信濃川と阿賀野川、日本を代表する2つの大河が運んできた大量の土砂によってつくられたものです。この2つの大河の河口を持つ新潟は、古くから内陸と海をつなぐ港として重要な場所でした。江戸時代には日本海側を代表する港町として多くの廻船でにぎわい、幕末には開港5港の一つに選ばれます。 一方、砂丘の内側は水はけの悪い低湿地が広がり、先人たちは度々襲ってくる洪水と戦いながら水田開発をしてきました。その努力によって、美田が広がる日本有数の穀倉地帯になっています。 博物館では、自然環境に左右されながら、港町として発展し、低湿地を美田に変えてきた歴史を、ジオラマや映像などによってわかりやすく紹介しています。─ これからの博物館の活動について、目指していることがあればお聞かせください。 博物館の役割も多様化しはじめています。これからは地域の歴史・文化のセンターとして、まちづくりの一翼を担う存在になるべきと考えています。市民と協働して地域の文化活動を盛り上げていくこともその一つで、そうした活動に近年取り組んでいます。 昨年は文化庁からの助成を得て、当館に寄贈され永く収蔵されていた祭りの山車を市民とともに組み立て、それを新潟まつりで曳き回す活動を実施しました。歴史資料である山車が傷むことは心配でしたが、往時の祭りの様子が再現され、参加した人はもちろん、見て楽しんだ人も、より地域への関心が高まったと思います。 また、新潟市は2019年に開港150周年を迎えます。市民が新潟の歴史に目を向ける絶好の機会です。私たち博物館も先頭に立って、新潟の街を盛り上げていきたいと思います。─ 最後に電気のことや設備の面で何かお困りのことや、気になることなどはありますか。 博物館は何といっても、照明管理と、適切な室温・湿度などの空調管理が大事ですので、電気によるそうしたコントロールは欠くことができない要素になっており、日頃から保安協会の皆さん方に本当に良く対応していただいています。私たちは安心して収蔵・維持・管理ができることを切に望んでいるところですので、今後ともぜひその安心が続くようにと願っています。 弊協会も、博物館の収蔵・維持・管理という重要な役割の一端を担わせていただくという思いで、これからも業務にあたっていきたいと思います。本日は、博物館とともに新潟の街の貴重な歴史もうかがうことができました。たいへんありがとうございました。年の新潟情緒を味わう人たちの尽力で生まれた美田─ 本館の展示ではどのようなことを紹介しているの民とともに街を盛り上げる心の維持管理が続くように新潟開港から、まもなく150年。新潟の文化歴史と魅力を伝える。往市先安3

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