電気と保安 2017年 春季号 Vol.269 東北電気保安協会
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39 経済産業省と製品評価技術基盤機構がこのほど公表した2015年度電気保安統計によると、事故報告件数は3年連続で減少し、前年度比10.4%(1,380件)減の11,856件(電気事業者:11,378件、自家用電気工作物設置者:478件)となりました。 電気事業者の事故件数のうち大半を占めるのは、例年と同じく高圧架空配電線路における事故で10,574件となり、前年度の事故件数より968件の減少。また、自家用電気工作物設置者からの波及事故の件数は331件と前年度から109件減少しました。 自家用電気工作物設置者の事故件数の大半を占めるのは、例年と同じく需要設備における事故で362件、前年度から83件の減少となっています。 一般電気事業者における供給支障事故件数は、11,192件で前年度に比べ1,269件の減少。そのうち、高圧架空配電線路の設備損壊に伴う事故が全体の約8割でした。総合資源エネルギー調査会工場等判断基準ワーキンググループ(WG)はこのほど、省エネベンチマーク制度の対象に2017年度からホテルと百貨店を加えることを了承しました。省エネベンチマーク制度は、同じ業種に属する事業者の省エネ度を共通の指針で比較・評価する制度。対象事業者は、上位1~2割の事業者のみが該当する「目標水準値」の達成に向けて省エネを進めることが求められます。同制度は、2009年に産業部門の業種から導入。同部門の対象業種は現在、「電力供給業」「高炉による製鉄業」など6業種・10分野。例えば電力供給業は、全体の火力発電効率を44.3%以上に高めることなどが求められています。政府が定めた2030年度の最終エネルギー消費の省 感電死傷事故は、電気事業者・自家用電気工作物設置者合計で71件発生。そのうち電気事業者は16件(前年度14件)、自家用電気工作物設置者は55件(前年度55件)となっています。 電気火災事故は、電気事業者・自家用電気工作物設置者合計で5件発生。そのうち電気事業者は2件(前年度4件)、自家用電気工作物設置者は3件(前年度9件)でした。 設備別で見ると、一般電気事業者・卸電力事業者の水力発電所が42件で、件数、事故率ともに減少傾向。火力発電所は26件で、事故率と合わせ近年おおむね横ばい傾向で推移しており、東日本大震災以降の高稼働状態が続いていることを踏まえると、引き続き高い保安水準が維持されています。 自家用の太陽電池発電所は13件で件数、事故率も増加傾向。風力発電所は31件にとどまり、件数、事故率ともに減少しました。エネ目標5,030万キロリットル(原油換算)は、電源構成(エネルギーミックス)達成の前提となる高い目標です。政府は、エネルギーミックス実現への一つの手段として、業務部門の業種にも同制度を広げることが必要と判断。2016年4月に「トップバッター」としてコンビニエンスストアを対象にしましたが、2017年度からはホテル、百貨店業界も対象に加わり、業務部門でカバーする業種はこれまでの時点で3業種となります。同WGでは、ホテル、百貨店のほか、①スーパーマーケット②貸事務所③ショッピングセンターへの対象拡大も検討しており、2018年度までに全産業の7割(エネルギー消費量ベース)をカバーする考えです。(記事提供 電気新聞)2015年度電気保安統計、事故件数3年連続で減省エネベンチマーク制度、ホテル、百貨店も対象へ

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