電気と保安 2017年 冬季号 Vol.268 東北電気保安協会
8/24

東東焼損個所(注)モールドコーン:ブッシングとそこから出ているリード線が一体となるよう口出し部分をゴム製の三角コーンで覆うことにより絶縁性能等を強化したもの。工事後の引込柱10月の晴れた日、日本海に近い廃水処理施設のお客さまの年次点検での出来事です。塩害の影響を受けやすいお客さま設備では、年次点検に合わせて高圧ケーブル端末部に絶縁劣化を防ぐため、シリコン塗布の業務を受託し実施しています。この日、シリコン塗布作業の昇柱前に外観点検を行ったところ、電線の接続部に違和感がありました。すぐに昇柱して確認したところ、高圧気中開閉器(PAS)負荷側と電力需給用計器用変成器(VCT)電源側の電線接続部カバーが焼損しているのが目に飛び込んできました。この高圧気中開閉器は、今年で12年目になり、交換推奨時期の10年が経過したことをお客さまにお話していた矢先のことで、電線接続部が塩分により絶縁劣化が進行し、焼損に至ったものと思われます。直ちにお客さまへ状況を報告し、応急処置として焼損個所のテーピング処理を行い、後日、高圧気中開閉器負荷側と電力需給用計器用変成器電源側の電線接続部について、高圧絶縁チューブを巻き、その上にカバーを取付けていただく対策を行っていただきました。また、合わせて以前からお話しをさせていただいていた高圧気中開閉器も、塩害に強いとされるモールドコーン(注)タイプ仕様に交換していただきました。「絶縁を良好に保つため、シリコン塗布をしていたにもかかわらず、このような状態になっていることに驚きました。停電事故になる前に発見していただき、感謝しています。」とのお言葉をいただきました。庄内地方は、冬になると塩害ばかりでなく雷の多発や地吹雪が発生する等、自然環境の厳しい地域です。月次点検においては、これまで以上に屋外設備の状況を注視し、変化を見逃さない点検に心がけ、事故防止に努めていきたいと思います。6鶴岡事業所 石塚 岳敏〔状況〕〔原因〕〔復旧〕自然環境把握の重要性を実感〔お客さまの声〕〔まとめ〕検査員の現場報告1

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る