電気と保安 2017年 冬季号 Vol.268 東北電気保安協会
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故障率出典:Reliability Modeling and General Redundancy Techniques, 1978, Bill D. Carroll(Ⅰ)初期故障期間:施設・設備の不具合要因(設計ミス等)による故障が使用の初期に顕在化する時期。(Ⅱ)偶発故障期間:初期故障がおさまった後、故障率がほぼ一定となる期間。(Ⅲ)摩耗故障期間、経年劣化期間:偶発故障期間に続き、故障率が漸次高くなる期間、設備の摩耗、疲労などにより寿命が尽きることによる。設備寿命を延ばすためには、この段階を迎える前に適切な維持補修が必要となる。(出典:経済産業省「産業事故調査結果の中間とりまとめ」H15.12.16)図7 設備経年数と故障発生率の関係(通称:バスタブ曲線)図5 高圧気中開閉器図6 地絡継電器また、高圧気中開閉器は、雨や雪そして太陽光等の自然環境の中で塗装の劣化が進み、錆が発生し最後には内部に水が浸入して事故に至る事例も数多く見られます。受電設備で使用する高圧機器は、使用開始から一定年数を経過すると故障率が極端に高くなってきます。図7に設備経年数と故障発生率の関係を表します。この図では、(Ⅰ)初期故障期間(Ⅱ)偶発故障期間(Ⅲ)摩耗故障期間、経年劣化期間の時間軸において、(Ⅲ)の期間における適切な維持補修投資が必要であるとされています。弊協会では、この(Ⅲ)の期間の前に予防保全の対策を講ずることが適切として、一般社団法人日本電機工業会が推奨する「汎用電気機器 更新のおすすめ」や各メーカーの更新推奨時期を目安にしています。高圧気中開閉器や地絡継電器は、事故時に自動で電気を止め、事故の拡大を防止するもので、機能が果たせない場合、波及事故に繋がることになります。高圧事故による全停電は、生産活動を全てストップし、生産遅れに伴う補償、集中生産のための従業員への残業代支払いなど、多額の費用発生が想定されます。不測の停電事故に備えて高圧機器の計画的な更新を行い、事故の未然防止をお願いします。弊協会は、更新時期を迎えた設備をお知らせし、更新に伴う適切なアドバイスを行います。また、高圧気中開閉器及び地絡継電器は、弊協会の事務所に多少の予備品を持っており、それらが応急対応に役立つ場合もありますが、何より早期の改修が必要と考えています。14(Ⅰ)(Ⅱ)通常のメンテナンス(Ⅲ)適切な維持補修投資が必要時間4 高圧機器の適切な更新5 最後に

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