電気と保安 2016年 秋季号 Vol.267 東北電気保安協会
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東東扉の開閉によりここのコードが損傷5事故対応時に、お客さまからの情報により早期復旧できた事例を紹介します。〔状況〕昨年の冬のことです。衣料販売店のお客さまから、漏電の状態を監視する絶縁監視装置の漏電警報があり出動しました。今回のお客さまは、以前の定期点検の際にも雨漏りの跡を何度か確認していました。この日は、沿岸地域でも降雪量が多く、直前に訪問したお客さま設備の故障も、雪の雨漏りによる漏電が原因だったことから、雨漏りが原因かなという先入観がありました。〔調査〕お客さまに到着して、直ちに連絡責任者の方に雨漏りについて問診したところ、「不安なので念のため確認してほしい」とお話がありました。連絡責任者と、これまで何度か確認している雨漏り箇所に行き、分電盤のブレーカの入切状態と漏洩電流測定を行い、異常がないことを確認しました。次に、雨漏りが原因ではなかったことから、漏電探査の手順のとおり屋上のキュービクルから調査を開始し、1階の分電盤の扉を開け調査しようとしたその瞬間、「バン」と主幹の漏電ブレーカが動作しました。連絡責任者から「来店客が店舗出入口扉を開けた時にブレーカが動作したようだ」とお話があり、扉周辺のコンセントの外観点検を行いました。ふと外を見ると、前回の月次点検の時にはなかったクリスマスツリーが置いてあり、連絡責任者から「クリスマスツリーを外に置いたけど漏電の原因とは関係ないよね」とお話がありました。まさか、と思いクリスマスツリーに延びる電源コードを確認したところ、被覆が損傷していたのです。〔原因〕クリスマスツリーの電源を、店舗内から供給するために、出入口扉の下の隙間を通して仮配線していたため、扉を何度も開閉することにより、コードがつぶされ被覆が損傷したことが漏電の原因でした。〔復旧〕電源コードを絶縁テープで応急補修し、コードがつぶれないように、電源を屋外の防水コンセントから供給することとしました。〔お客さまの声〕「漏電ブレーカが動作し、1階の照明がすべて消えた時は、今日は営業ができないと焦りました。まさかクリスマスツリーが原因とは思いませんでした。来店のお客さまにはご迷惑をかけましたが、感電等が無くて本当によかった。原因が分かって一安心です。早急に復旧していただきありがとうございました。今後も電気設備の点検をお願いします。」と感謝のお言葉をいただきました。〔まとめ〕漏電の原因が雨漏りと思い込んでいたことや、1階フロアが広く復旧まで時間がかかるところでしたが、連絡責任者との問診により早期復旧することができました。原因を探るに当たって、いつもと違う使い方をした、新しく電気機器を使い始めたなどの情報は、店舗で働いている方のお話で初めて知ることができます。電気事故対応では、連絡責任者の方への問診の大切さと、お客さまとのコミュニケーションを良くすることが、早期復旧につながると強く感じた経験でした。宮古事業所 大渕 卓也お客さまからの情報により早期復旧ができました ~問診の大切さを実感~検査員の現場報告2

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