電気と保安 2016年 秋季号 Vol.267 東北電気保安協会
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東東既設バッテリー 極板剥離不良仮設バッテリーと充電器4 交換推奨年が近づいた又は経過した設備は計画的に取替えることの重要性を再認識した事例を紹介します。〔状況〕 月次点検でお客さま設備の電気室へ入ろうとドアを開けた瞬間、何かいつもと様子が違いました。薄暗い電気室の奥で、光が点滅しています。点滅していたのは電気室の奥に設置してある非常用予備発電装置の制御表示ランプでした。なぜ?不思議に思いながら発電機制御盤の点検を行ったところ、制御電圧が低下していることが判明しました。〔調査・原因〕 この非常用予備発電装置の始動用蓄電池は、製造から15年経過し期待寿命年数を越えていることから、以前から交換をお願いしておりました。電極板が劣化して剥離しており、充電器も故障していたため、完全に蓄電池の機能を失い、充電されず電圧低下していたのです。〔復旧〕 お客さま施設は、地区の指定避難施設に指定されているため、非常用予備発電装置が始動できない状況はあってはならないことから、早期に復旧してほしいと要望されました。しかし、この非常用予備発電装置は1979年製で、製造から35年以上経過しており、数社に問合せしましたが「他社製造の修理は難しい、新たに発電装置を購入してください」との回答が返ってくるばかりで、修理は困難かと思われました。発電装置を一式での交換となれば高額な費用と時間を要することになります。お客さまの要望に沿えるよう、諦めずに数社に再度問合せしたところ、ある会社さまから「部品の納期に2か月以上かかるが、充電器と蓄電池を交換する方法で修理が可能」との回答をいただくことができました。当面の対策として、仮設で蓄電池と充電器を接続し、常に非常用予備発電装置は始動できる状態として部品の納期を待つこととしました。〔お客様の声〕 「以前から、非常用予備発電装置の蓄電池を更新するように指導を受けていましたが、故障することもなかったため、更新の予算も取らずに過ごしてきました。復旧までに数か月もかかるとは思ってもいませんでした。仮設ですぐ蓄電池と充電器を接続していただき大変助かりました。」とのお声をいただきました。〔まとめ〕 今回の故障で、計画的な設備更新の重要性を再認識しました。故障した場合には、すぐに復旧できません。今後も、これまで以上に計画的な設備更新の重要性と、故障した場合の復旧期間の説明をさせていただき、お客さまにご理解いただけるよう努力していきたいと思います。突然の蓄電池の機能低下で非常事態 ~計画的な機器更新の大切さを再認識~十和田事業所 今淵 恭之検査員の現場報告1

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