電気と保安 2016年 夏季号 Vol.266 東北電気保安協会
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東東130℃を示した接続部サーモカメラによる画像交換締付け後のマーカー付け7無停電年次点検で異常個所を発見し、大事に至る前に防いだ事例を紹介します。〔状況〕停電が難しいお客さまの無停電年次点検を実施していたときのことです。放射温度計による外観点検を実施したところ、動力変圧器の低圧側接続部の1ヶ所だけが130℃を示したのです。他の接続部は30℃前後だったことから、接続部の異変だと判断しました。「このまま放置すると変圧器の焼損による停電事故や欠相による機械のトラブルなどに至るおそれがある」と判断し、直ちにお客さまに報告のうえ停電による点検をお願いしました。〔調査〕停電による精密検査当日に、サーモカメラ (温度測定の結果を画像として表示できる機器)による温度測定を実施して、温度の上昇状況をお客さまにご確認をしていただいた後に、点検に入りました。点検の結果、端子を留めているボルトが緩み、接触不良により加熱していたものと分かりました。〔原因〕変圧器低圧側は、本体の微振動による接続部分の破損などを防止するため、可とう導体 (フレキシブル導体)を使用して本体と母線を接続していますが、そのボルトが地震の影響や、変圧器本体の微振動により緩みが生じたものと推測されます。〔復旧〕可とう導体が熱などにより変色していたことから、新しいものに交換しボルトもしっかり締めました。また、今回、せっかくの停電での点検であることから、他のボルトなども緩みがないか確認するとともに、増し締めを実施しました。〔お客さまの声〕「停電が難しく、無停電の点検で接触不良を発見したことに、業務品質の高さを実感した。このまま気付かず変圧器を使用して、過熱による機器損傷や火災などがあれば、多大な損害が出るところであり助かりました。また、ボルトの緩みが目視で分かるようマーカーを付けたのは感心しました。」と喜んでいただきました。〔まとめ〕接触不良個所を発見するには、停電し触手による点検が確実です。一方で、生産ラインを止めて停電する点検が難しい社会状況でもあります。急な停電や電気事故を未然に防ぐためには、お客さまが異音、異臭、異変に気付いたら、いち早く電気主任技術者に連絡していただく。そして、私たち電気主任技術者は、お客さまの停電リスクを回避できるよう、常に技術力を高める必要があることを実感しました。長岡事業所 斎藤 萌無停電年次点検で変圧器低圧側端子の接触不良を発見~年次点検でトラブル回避~検査員の現場報告2

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