電気と保安 2016年 夏季号 Vol.266 東北電気保安協会
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東東鳥の糞が堆積した個所6故障対応時に調査したところその原因が思いがけない事象だった事例を紹介します。9月のある早朝6:40頃、お客さまより「電気が使えない」との電話連絡があり、受付当番から緊急連絡を受けた私は、ただちに出社しお客さまのところへ向かいました。お客さまから電気関係の鍵を借用し、高圧受電設備の確認を行なったところ、引込柱に設置してある地絡方向継電器の動作により区分開閉器が開放(OFF)していました。お客さまは「電気が使えないと仕事ができない。できるだけ早く電気を送って欲しい、待ってます。」と不安げな様子でした。原因調査のため、お客さまと一緒に受電設備の外観点検を行いましたが異常は見当たらず、高圧絶縁抵抗を測定したところ、引込柱側が0MΩでした。構内の引込柱を双眼鏡で目視確認をしたところ、高圧ケーブルの耐塩型端末部 (写真参照)に「黒いしみ」のようなものを見つけました。昇柱して確認した結果、「黒いしみ」はなんと鳥の糞でした。高圧ケーブルの耐塩型端末部に、これが堆積したことで漏電状態になり、停電に至ったのです。鳥の糞はその場できれいに取り除き、高圧絶縁抵抗を測定した結果、160MΩに回復したため、東北電力に連絡の上、8:50頃に無事復旧するとこができました。「鳥の糞で停電になるとは思ってもいませんでした。震災後、鳥の数が増えたと感じていました。今後、今回の原因個所の定期的な清掃と鳥対策等を検討していきたいと思います。」とのお言葉をいただきました。石巻地区などの塩害地域では、絶縁低下による停電事故が発生する可能性が高いことから、耐塩型の端末処理材(耐塩型ストレスコーン)を使用するなど対策が施されています。今回の事例は堆積した鳥の糞による停電事故であったため、塩害だけではなく鳥獣対策の必要性を確認するとともに、地域の状況、お客さまの周囲の環境などを意識した点検の必要性をあらためて再認識いたしました。石巻事業所 山田 敏雄〔状況〕〔調査〕〔原因〕〔復旧〕鳥の糞による全停電!? ~柱上の設備も定期的に点検を~〔お客さまの声〕〔まとめ〕検査員の現場報告1

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