電気と保安 2016年 夏季号 Vol.266 東北電気保安協会
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創業時の初代加工機械と千田さま2005年に国際ライセンス契約を締結し、自動車・半導体関連の製品加工に応用している摩擦撹拌接合技術3くならないと考え、まずは東京などからの誘致企業にあたることにしました。訪ねていくと「地元の会社はみんな仕事がないかと言って来るけれど、じゃこの仕事ができるかと聞くと、そんな難しいのはできないと帰ってしまう。おたくも、そうなんじゃないの」と言われました。冷静に「私はなんでもできますよ」と言い返して、指定通り作って持って行ったら、「ほんとうにできるんだ」とびっくりされました。「じゃ、次はこれができるか?」と言われて「はい、いいですよ」と、また作って持って行ったんです。そうやって仕事が増えていきました。あまり苦労とは感じませんでした。人との巡り合いです。いい人たちにいろいろな形で支援してもらいました。設備投資も、機械メーカーの人がたまたま開設したばかりの銀行の支店長に掛け合ってくれて、そしたら銀行も貸してくれたという幸運がありました。山下:その銀行も志のある将来有望な企業を見抜く目と、支援を惜しまない気概がありましたね。それは千田社長のものづくりに懸ける熱い気千田:支えてくれた人たちが、いろいろな取引先を紹介してくれましたし、自分が作った製品そのものが優秀な営業マンでした。小さなものでも必ず誠意をもって応えること、「こんなものができるか」と言われた時にちゃんとそれを作り上げて、よかったと喜んでもらう、ということが私のやり方です。創業して20年後の1999年のことです。「こんな加工が可能か」と言われて1カ月かけて指定通りの加工を施したら、その部品はF1レーシングカーのエンジンに使われる制御ボックスでした。徹底的な小型化・軽量化が必要で、なおかつ強度を落とせない、という難度の高い超精密加工です。この部品を供給した「無限ホンダ」のマシンが優勝した時は、うれしかったですね。   また、ある製品の仕事をした時に、イギリスの会社が特許を持つ摩擦攪拌接合という高度な加工技術を知りました。いろいろ調べて、自分の機械で実験してみたらなんかできそうな感じでした。ライセンスを取って製品を作っている大手メーカーの専用機を見せても持ちがきっと伝わったんでしょうね。難易度の高い超精密加工の分野において世界レベルの技術で、挑戦し続ける技術者集団

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