電気と保安 2016年 春季号 Vol.265 東北電気保安協会
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東東接触部分の過熱により溶けた消弧室(本体から外しています)この高圧負荷開閉器は設置後20年以上経過していたため、経年劣化による接触不良から過熱したものと思われます。なお、お客さまへは以前から交換をお願いしていたものです。〔お客さまの声〕「月次点検で異常に気付いていただき助かりました。そのまま使用していたら火災などにつながるおそれがあると聞いたときには非常に驚きました。代替品のおかげですぐに営業ができて良かったです。」と感謝のお言葉をいただきました。〔まとめ〕今回は高圧機器の接触不良という事例でしたが、電気が流れ続けていたことから普段と変わらずに使用できていました。そのため、お客さまは異常が起きていることに気付かずにいたもので、日頃の点検が重要だと再認識させられる出来事でした。今回はたまたま代替品がありましたがいつもそうとは限りません。お客さまにおかれましては経年劣化よる停電事故を防ぐため、定期的な機器更新の計画をよろしくお願いいたします。5いつも実施している月次点検で異常個所を発見し、大事に至る前に防いだ事例を紹介します。〔状況〕午後3時頃、月次点検に訪れたレンタルビデオ店のお客さまでの出来事です。店長さまへ電気設備の問診を行い、異常の無いことを確認して点検を開始しました。キュービクルの扉を開けたとき、すぐに高圧負荷開閉器(高圧のスイッチ)の様子がいつもと違っていることに気付きました。その開閉器には高圧電流のアーク(火花)を遮断するため“消弧室”という樹脂製の部品が付いているのですが、よく見ると3個のうち中央の1個が溶けて変形していたのです。携帯している放射温度計で温度測定を実施したところ、変形していない左右の温度は14℃でしたが中央は93℃と異常に過熱しているではありませんか。「これは危ない!」すぐさま店舗事務所まで走りました。そして、このまま使用すると過熱により火災のおそれがあること、また、速やかに停電して開閉器の交換の必要があることをお話ししました。それを聞いた店長さまは、店舗の営業に支障がでることに大変不安げな様子でした。〔復旧〕お客さまから開閉器交換のための連絡を電気工事店にしていただきましたが、本日中に代替品の準備はできないとのこと。そこで弊協会事業所に連絡をしたところ、ちょうど同じタイプの開閉器が事務所内に予備品として保管してあるとの返事が。「すぐに持ってきてください。」とお願いしました。まもなく代替品が到着するとともに、お客さまで手配した電気工事店の方々も到着。お客さまから停電の許可が出たため電気工事店で作業を開始しました。幸いにも型が同じだったため交換は難なく完了し、異常を発見してから約2時間後の5時頃には無事受電完了。周りが暗くなっていた中、明かりが灯ったときにはホッとしました。後日、その開閉器は電気工事店により交換となりました。若松事業所 小林 一也月次点検の重要性を改めて実感 ~設備更新は計画的に~〔原因〕検査員の現場報告2

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