電気と保安 2016年 春季号 Vol.265 東北電気保安協会
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12 国土交通省は2016年4月から、「電線等の埋設物に関する設置基準」を緩和しました。これは無電柱化の低コスト手法の導入を図るために設置した検討委員会での技術検討結果を踏まえたもので、交通量の少ない生活道路で道路の舗装厚(路面〜下層路盤)が50cmの場合、電線頂部と路面との距離が従来の80cmから最大で35cmまで浅くできます。基準緩和により、浅層埋設や小型ボックス活用埋設など低コスト手法の導入によるコスト縮減を図り、本格的に無電柱化を推進する考えです。 基準緩和により車道部では、ケーブルと径15cm未満の小径管の場合、従来よりも45cm浅く埋設できるほか、径15cm以上の大径管の場合も同20cm浅く埋設できます。歩道部においては、小径・大径管いずれも同25cm浅く埋設できます(現基準は40cm)。 検討委が実施した埋設深さに関する検証試験で的な項目や頻度、方法、③日常的な保守・点検も含めた保安力を評価する仕組みの検討、④審査の実施主体――など。インセンティブに関しては、審査の一括化といった事務負担の軽減ではなく、事業者の自主的な投資や取り組みを促す仕組みを検討しています。 審査の実施主体については民間主体の審査制度の構築を目指します。同制度は現在、火力発電設備が対象になっており、2017年度から風力も追加する予定です。火力では設置者が検査を実施し、検査の適切性について国や民間の登録安全管理審査機関から、審査を受けることが義務付けられています。審査の結果、恒常的に高品質な検査体制が構築されていると評価されると、3年分の検査を一括で受審できるといったインセンティブを設けています。 検査の頻度はガスタービンが3年ごと、蒸気タービンが4年ごと。15万kW以上の設備は国、15万kW未満は登録安全管理審査機関が審査しています。は、現行基準よりも浅い深さで電力ケーブルなどを埋設。舗装や埋設物への影響の有無を検証しました。具体的には、路面からの深さが、①55cm、②49cm、③25cm――の3通り。その結果、全ケースで無埋設部の舗装の状態との相違がみられず、舗装への影響がないことを確認しました。 一方、大径管(小型ボックス代用管)を路面から25cm部分の車輪走行位置に埋設したケースではひび割れが発生しました。また、小型ボックスを路面から①0cm、②5cm、③25cm、④55cm――の4通りに埋設して検証した結果、①ではふたにひび割れが発生し、ボックス周辺の舗装に沈下や段差が生じました。②では、舗装にひび割れの発生を確認しましたが、③、④では舗装への影響はみられませんでした。(記事提供 電気新聞)(2月4日付)(2月24日付)◆制度の骨格、2016年度上期に 経済産業省は、風力発電設備に定期安全管理検査制度を導入するための制度設計を進めています。対象となる風車の規模や検査頻度などを経産省が検討するのに伴い、日本風力発電協会(JWPA)は2015年11月から実施していた同制度の試行結果を、このほどまとめました。風力への導入は2017年度からを予定しているため、経産省は2016年度上期に制度の骨格を提示する方針です。 JWPAは1月下旬までに11発電所で同制度を試行し、このうち7発電所で評価が完了。7発電所とも審査結果は「良」で、同制度を行う体制が整っているとの評価を受けました。JWPAは、「初めての実施で審査基準が理解しにくい面もあったが、実地審査で審査員から解説することで、設置者の理解が深まっている」としています。 風力を対象とするに当たっての論点は、①出力や風車の高さといった風車の規模、②法定検査の具体経産省、風力発電への定期安全管理検査導入へ/試行結果良好で体制整う国交省、無電柱化の低コスト手法導入へ埋設物設置基準を緩和4

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