電気と保安 2016年 冬季号 Vol.264 東北電気保安協会
9/24

東東過熱していたブレーカー7お客さまの気付きにより重大な事故となる前に防いだ事例を紹介します。〔状況〕ある日の午前9時頃、中学校から「体育館の分電盤付近から焦げたような臭いがするので至急確認してほしい。」との連絡を受け、お客さまへ向かいました。到着して、分電盤を開けてみたところ、主幹ブレーカーの端子が赤黒く変色し、電線の被覆までもが変色しているのを発見!すぐさま携帯していた放射温度計で測定した結果、なんと120℃まで過熱しているではありませんか。「これは危ない!」このまま使用を続けると火災のおそれがあるため、早急に電源を切る必要があると判断。すぐにお客さまに説明し、キュービクルまで全速力で走り体育館への電気を遮断しました。〔調査〕体育館へ戻って状況を確認。通常、過熱する原因は、端子接続部やケーブル圧着部の緩みによるものがほとんどであることから締付等を確認しましたがどちらも良好でした。従ってブレーカー内部の不良と考え、本体の交換が必要と判断しました。〔復旧〕お客さまに今までの経緯を説明したところ「とりあえず異変に気付いて良かった。すぐに電気工事店に連絡します。」と、ブレーカー交換のための電話を何軒かしていただきましたが、残念ながら当日中の対応が可能なところはありませんでした。75Aと容量の大きいものだったからです。協会事業所に予備品があるかどうか確認の電話をした結果、たまたま同じ容量のものがあるとのこと。お客さまに仮復旧での了解を得たうえで事務所へ飛んで戻り、交換に必要な端子や圧着工具なども一緒に持ってきました。今までのものと本体の大きさが違っていたことから、取付け穴の加工に苦労しましたが何とか無事に交換が終了。お昼前には電気を送ることができました。外したブレーカーは、20年以上の長期にわたり使用していたことから、機構部が劣化し、接点が接触不良となり過熱に至ったものと推測されます。後日、このブレーカーは電気工事店により新しいものに交換となりました。〔お客さまの声〕「ブレーカーの寿命など考えたこともありませんでした。今週末に大きなイベントを控えていましたので、中止も考えないといけないところでした。応急処理で直ちに復旧していただきありがとうございました。」と感謝のお言葉をいただきました。〔まとめ〕今回は、幸いにもお客さまが異臭に気付いたことで大事には至りませんでしたが、万が一発見が遅れていたらイベント中の火災など重大な事故となっていたことが想定されます。電気に関することでお気付きのことがございましたら、些細なことでもお構いなく弊協会までご連絡をお願いいたします。佐沼事業所 千葉 俊分電盤から異臭?~協会への連絡で大事に至りませんでした~〔原因〕検査員の現場報告2

元のページ  ../index.html#9

このブックを見る