電気と保安 2016年 冬季号 Vol.264 東北電気保安協会
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東東投入不能となった高圧遮断器6高圧回路の遮断器が投入不能となった際に、早期復旧できた事例を紹介します。〔状況〕初冬のある日、食品加工のお客さまの改修工事のため、約2時間の停電の予定で作業の立会を行なっていました。電気工事店の作業が終わり、復電のため高圧遮断器の投入操作をしたところ、なんと投入できない状態でした。何回か投入操作を繰り返しましたが、まったく入るような気配はありません。このお客さまは半年前に停電年次点検を実施しており、その時は正常に動作していたものです。お客さまに事情を説明したところ、非常に困惑しながら「早く電気が使えるようお願いします。」とのお話がありました。〔調査〕復電作業を中断して調査を開始。遮断器の操作レバーは通常どおり動くものの、肝心の接点の部分が動いていないようです。更に確認するため、作業車に積載している工具で本体のパネルを外して操作レバーを動かした結果、機構部の動きが悪くなっていることが判明しました。原因は設置後15年以上経過していることから、製造時から塗布されているグリスが時間の経過とともに劣化したことに加え、当日の気温の低下で固くなったことによるものと推定されました。〔復旧〕専用のグリスを機構部へ注油する必要がありましたが、在庫は無く復電時間も迫ってきています。幸い作業車にスプレーオイルを常時積んでいることから、これを代わりに使用することにしました。お客さまには応急処置であることを了解いただき、機構部へ注油を実施。何回か投入動作を繰返した結果、動きがスムーズになり投入出来るようになりました。また、作業を見守っていたお客さまには、安心した様子が見受けられました。お客さまには、改めてメンテナンスをする必要があること、また、高圧遮断器が他にも4台あるため、同じくメンテナンスが必要であることを説明し、後日実施していただくことになりました。〔お客さまの声〕「以前から遮断器のメンテナンスを勧められていましたが、頻繁に操作するものでもないので、特に問題にしていませんでした。今回不具合の話を聞いて長時間の停電を覚悟しましたが、迅速な対応でほぼ当初の予定時間どおりに復電していただき、ありがとうございました。分解や注油を見たときは、メーカーから来た作業員のようで感心しました。」と感謝のお言葉をいただきました。〔まとめ〕今回のような事故を未然に防止するためには、高圧遮断器の定期的なメンテナンスが必要です。弊協会では検査員への遮断器メンテナンスなどの研修を始め、技術力向上を目的とした各種研修を実施しております。今後もお客さま設備の電気事故などに速やかに対応できるよう取組んでまいります。二戸事業所 菊池 祐也日頃の研修が威力を発揮!~機器のトラブルに迅速に対応~検査員の現場報告1

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