電気と保安 2016年 冬季号 Vol.264 東北電気保安協会
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表3 電気事業法遵守状況13電気事業法不遵守事項法人の代表者の変更届出がされていない(電気関係報告規則第4条第16号)2件2件(4)電気事業法遵守状況関係法令の遵守状況に関して、前記の保安規程遵守状況及び技術基準の適合状況以外で、電気事業法の不遵守が確認された事業場は、2事業場において2件確認されました(表3参照)。2件とも電気関係報告規則に基づくばい煙発生施設に係る変更報告漏れでした。ばい煙発生施設を施設する設置者におかれましては、代表者等が変更した際は変更届出が必要となります。平成26年度の自家用電気工作物の立入検査を実施した結果、保安規程遵守状況については10件、技術基準については7件、電気事業法不遵守2件の指摘を行い、立入検査を実施した16事業場のうち9事業場において、何らかの法令違反等が確認されました。実施したうちの5割強の事業場において指摘事項が確認されるなど、電気工作物の保安に関する制度や責任・義務といった基本的な事項についての認識・理解が不十分である事業場が多く見られました。一旦事故を発生させれば、自社においては生産活動等の停止に伴う金銭的損失はもちろんのこと、感電事故においては死亡に至るケース、波及事故においては周辺の需要家を停電させてしまうなど、社会的に大きな影響を引き起こしてしまいます。また、経営コストの削減によって計画的な設備更新がなされていない事業場等も確認され、このような状況を放置すれば将来的に電気事故につながる可能性はますます高まると考えられます。是非、電気主任技術者をはじめ電気保安従事者は、電気保安の責任者として積極的に経営者等とコミュニケーションを図り、計画的に設備改修するよう上層部に働きかけをお願いします。また、設置者におかれましては、選任又は委託した担当者が確実に保安業務を担っているか等、点検等に立会い設備の状況を確認し、必要に応じて計画的な設備更新を実施していただきたいと思います。「電気の保安」は関係する皆様方の一つ一つの実績の積み重ねで成り立っております。改めて電気保安の大切さ、電気事故の怖さを認識していただき、電気事業法及び電気保安行政へのご理解ご協力をいただけますようよろしくお願いします。Ⅳ 総 括(まとめ)電気事業法において、自家用電気工作物を設置する者に求められている電気保安は、「自主保安体制」の確立です。この自主保安体制は、技術進歩や事業者の自主保安への認識の高まりなどの環境変化を背景に、これまでに幾度かの電気事業法改正を行い国の直接関与を必要最小限とし、自主保安を基本とした保安規制へと移行が図られてきたところです。

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