電気と保安 2015年 秋季号 Vol.263 東北電気保安協会
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Y△7 電気工作物の機器及び材料が、規格に定められている温度上昇限度を超えないことを検証する目的で行われます。試験は、機器又は回路毎に定格電流を流し、各部の温度上昇が安定した値から判定するもので、試験の方法としては実負荷法や等価負荷法などがあります。 実負荷法は、変圧器、遮断器及び開閉器などの定格電流(容量)に相当する抵抗負荷を接続して試験を行います。しかし、試験する機器の容量が大きい場合、それに伴う大容量の試験電源や大型の抵抗負荷装置を確保することが困難な場合があります。 一方、等価負荷法は、変圧器の場合、抵抗負荷を使わずに変圧器の二次側巻線を短絡し、一次側巻線から電圧を徐々に上昇させて、定格容量に相当する電流が流れるように行います。この場合は、変圧器の定格電圧より低い電圧で試験をするため、試験電源の容量が少なくて済むメリットがあります。そのため、現地試験においては等価負荷法が一般的となっています。また、この試験回路を応用し、低圧分電盤や高圧スイッチギヤの試験を行うこともあります。 実際の試験では、準備として試験回路の構成を行い、試験中は電圧・電流の整定、機器・材料の温度計測などを行います。また、等価負荷法の場合は、短絡に使用する線の太さや長さに、細かい調整が必要となる場合があります。 試験開始から各部の温度が徐々に上昇しますが、その温度が安定するまで8時間以上要する場合が多く、午前中の早い時間に準備を始めても終了が深夜に及ぶこともあります。 総合技術センターでは、「インパルス試験装置」などの試験装置や各種規格に応じた試験の知識・技術を有しております。また、職員を対象とした技術研修を実施し、現地試験の技術力向上も図っております。各種試験のご用命がありましたら、お近くの事業所又は弊協会ホームページにお問い合わせください。温度上昇試験の写真〔参考文献〕日本工業規格「JISC4620 キュービクル式高圧受電設備」、電気学会規格「JEC-0202 インパルス電圧・電流試験一般」     日本電機工業会規格「JEM1425 金属閉鎖形スイッチギヤ及びコントロールギヤ」被試験物(変圧器)温度上昇試験回路イメージ図〔試験用電源〕AC3φ3W 200V二次側回路を短絡三相電圧調整器電圧・電流記録計温度上昇(ヒートラン)試験

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