電気と保安 2015年 秋季号 Vol.263 東北電気保安協会
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9また、スチームトラップは、使用用途に応じた最適な型式を選定し、機能を十分に発揮できるように取付けすることが重要となります。スチームトラップの故障には、①閉弁不能によりドレンと蒸気が自由に通過する「吹き放し」②弁部の摩耗による「蒸気漏れ」③作動不能によりドレンが排出されない「詰まり」などがあります。故障時の蒸気漏れはトラップの型式や蒸気圧力によって異なりますが、多少漏れている場合の損失例として、年間で約10t、金額にすると約50千円※4にもなります。工場によっては多数のスチームトラップが使用されていますので、故障により蒸気漏れが生じている場合は早期の交換が必要です。スチームトラップの予防保全や蒸気配管、バルブ類の保温強化で燃料消費量の削減を図り、省エネルギーとCO2削減に努めましょう。省エネルギーに関することは、各支部の事業本部エコパートナー、最寄りの事業所又は担当検査員にお問い合わせください。種 類メカニカルトラップサーモスタティックトラップ蒸気とドレンの温度差を利用サーモダイナミックトラップ熱力学特性を利用蒸気とドレンの比重差を利用バケット型フロート型ベローズ型サーモ型バイメタル型(温調式)オリフィス型ディスク型表1 トラップの分類例作動原理型 式予想寿命6〜8年2〜3年10〜20年5〜6年7〜8年※3 スケールとは:ボイラ水に含まれるカルシウムやマグネシウムなどが固着したもの※4 漏れ蒸気量3kg/h、運転時間12h/日、稼働日数24日/月、蒸気単価5,000円/tと仮定図3 スチームトラップの設置例※予想寿命:一般財団法人省エネルギーセンター:ビル省エネ手帳より4 定期点検ドレンを排出するための重要なスチームトラップですが、消耗品であり使用年月と共に部品の摩耗やスケール※3の付着などにより徐々に機能が低下していきます。点検による故障の早期発見や定期的な交換による予防保全が重要となります。

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