電気と保安 2015年 夏季号 Vol.262 東北電気保安協会
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東東ケーブル接続部の不良箇所改修後の接続部の状態6月次点検に向かう移動中に、お客さま設備の異常を発見した事例を紹介します。〔状況〕朝、事業所を作業車で出発し、お客さまの月次点検に向かっている途中の出来事です。交差点の赤信号で停止した時、普段点検にお伺いしているお客さま(病院)の「構内第一柱」にふと目がいきました。「あれ?いつもの高圧ケーブルの形と違う!おかしいぞ。」と思い、先に予定していたお客さまへ連絡をして事情を説明し、急遽病院の点検を先にすることにしました。また、状況によっては人員が必要になると判断し、事務所に応援を要請しました。〔調査〕初めに、お客さまにお聞きしましたが「特に異常は無いですよ。」とのことでした。次に違和感があった構内第一柱に移動。ちょうど応援検査員が到着したことから一緒に点検に入りました。双眼鏡を使い柱上の点検をしたところ、高圧ケーブルの3本のうち、1本だけが逆の方向を向いてたことから、電柱に昇って外観点検を始めました。初めは異常が無いように見えましたが、強い風が吹いた瞬間、接続箇所から「ジリジリジリ!」と異音が発生。断線しかかっているのではないかと思いました。お客さまに、原因究明のため、停電が必要であることを説明しましたが、「入院患者がいるので急には困ります。」とのご返事でした。しかし、このまま使用するといつ停電するかわからない事を、再度ご説明したところ、検討していただくことになりました。その結果「院内の準備をしますので、午後からであれば停電出来ます。」とのご返事をいただくことができました。また、復旧には電気工事店による工事が必要と思われることから、事前にお客さまから連絡していただきました。病院の準備ができたことから、停電して電柱に昇りケーブル接続部の詳細な点検を開始。その結果、被覆がむけ、当初の想定どおり断線しかかっていました。「やはりそうだったんだ!」原因は約20年以上にわたり長期間使用したことによる経年劣化と推定されます。すぐに電気工事店に改修していただき、無事受電することができました。〔お客さまの声〕「今回は通りがかりにもかかわらず、気付いていただき助かりました。日頃からそのような目で安全が保たれていることを実感させていただきました。最初お話をいただいた時は、何のことかわかりませんでしたが、説明を聞いているうちに非常に切迫した状況であるとわかりました。突然の停電となれば患者さんの命にかかわるおそれがありますから。未然に防いでいただき本当にありがとうございました。」と安堵した表情で感謝のお言葉をいただきました。〔まとめ〕日頃からの移動時にも、お客さまの電気設備を観察していることが今回の発見につながったものと思います。今後もお客さま設備のちょっとした変化に敏感になり、迅速な対応をしていきたいと感じました。また、私の話をご理解いただき、直ぐに停電の準備をしていただいたことは早期の予防保全につながり、大変ありがたかったと思います。白石事業所 千葉 勝日頃の観察力が威力を発揮! ―検査員の習性が役立ちました―〔原因と復旧〕検査員の現場報告1

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