電気と保安 2015年 夏季号 Vol.262 東北電気保安協会
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14 東日本大震災以降、上昇傾向が続いてきた家庭の電気代について、2015年度は全国平均で4年ぶりに前年度の水準から低下するとの見通しを、みずほ総合研究所が示しました。同研究所はFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)の賦課金積み上がりと、北海道電力と関西電力の電気料金の再値上げという上昇要因を、原油安を反映した燃料費調整制度(燃調)による下押し効果が上回ると予測。これにより、家庭における2015年度の電気代は、標準家庭モデルで比較すると前年度に比べ、全国平均で4%程度低下するとしています。 昨秋以降の原油安の影響が燃調に反映されることから、電気料金は今夏以降、値下げに転じるとみられています。一般家庭における電気料金の変化に関係する要因分析によれば、賦課金の増加で前年度比約3%、2社の料金再値上げで同約2%の上昇要因となりますが、燃調による下押し効果は同約9%になるとしています。 2014年度の家庭用電気料金は、全国平均で前年度比8%近い上昇でした。2015年度の電気料金変化を地域別にみると、北海道電力と関電を除く8社で2014年度から低下する見込みです。最も低下率が大きいのは東京電力の同約8%減となります。 一方、家計における電気代負担率(可処分所得に対する比率)でみると、震災以降は2011年度が2.3%だったものが、2014年度には2.7%に上昇。2015年度はこちらも4年ぶりに低下する見込みで、2.6%程度になりそうです。 みずほ総合研究所経済調査部の風間春香主任エコノミストは「電気代低下による家計の購買力改善が、消費増税後の回復ペースが鈍かった個人消費を下支えする効果も期待できる」と分析しています。 今回試算の諸元の一つとなるドバイ原油価格の見通しについて、同研究所は2016年度末でも1バレル当たり60ドル台後半の低位水準にとどまると予想。今後はLNG(液化天然ガス)価格の下落が、平均燃料価格の本格的な下押し圧力となることも見込まれており、当面は電気代の抑制傾向が続くことになりそうです。 株式会社富士経済はこのほど、燃料電池車(FCV)の本格商用化などにより、燃料電池システムの世界市場が急速に拡大するとの調査結果をまとめました。2014年度は世界市場で1,363億円の規模ですが、2030年度には2013年度比で約60倍となる6兆4,923億円まで拡大すると予想しています。 エリア別の燃料電池システム市場は、2014年度は日本が447億円、北米が679億円、欧州が51億円となる見込みですが、2030年度にはいずれも大幅に拡大。日本は2013年度比で約50倍の1兆6,411億円、北米は同約40倍の1兆7,968億円、欧州は同800倍以上の1兆9,767億円に達すると予想しています。 今後は世界規模でFCVの普及が急速に進む見通しで、2014年度の市場規模はわずか11億円ですが、2030年度には4兆7,520億円と予測。先行する自動車メーカーの第1世代車が2015~2018年度に出そろうとみられ、2020年度には量産体制が整う見込みです。補助金制度が充実している日本や、環境対応車のユーザーメリットが大きい欧州などで普及が本格化していくとしています。 需要別では、産業・業務用が2014年度は815億円の見込みに対し、2030年度は2013年度比約10倍の6,813億円。2014年度が419億円の家庭用は、2030年度に同約25倍の7,910億円に増えるとしています。(記事提供 電気新聞)(5月12日付)(4月23日付)2015年度の家庭向け電気料金、原油安で4年ぶり低下と予測燃料電池の世界市場は2030年度に6兆4,923億円に拡大5

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