電気と保安 2015年 冬季号 Vol.260 東北電気保安協会
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13電気事業法において、自家用電気工作物を設置する者に求められている保安は、「自主保安体制」の確立です。この自主保安体制は、技術進歩や事業者の自主保安への認識の高まりなどの環境変化を背景に、これまでに幾度かの電気事業法改正を行い国の直接関与を必要最小限とし、自主保安を基本とした保安規制へと移行がされてきたところです。平成25年度の自家用電気工作物の立入検査を実施した結果、保安規程遵守状況については21件、技術基準については17件、電気事業法不遵守1件の指摘を行い、立入検査を実施した33事業場のうち13事業場において、何らかの法令違反等が確認されました。実施したうちの4割の事業場において指摘事項が確認されるなど、電気工作物の保安に関する制度や責任・義務といった基本的な事項についての認識・理解が不十分である事業場が多く見られました。中には、経営コストの削減により、計画的な設備更新がなされていない事業場も確認されましたが、このような状況を放置すれば将来的に電気事故につながる可能性はますます高まるのではないかと考えられます。一旦事故を発生させれば、生産活動等の停止に伴う金銭的損失のみならず、感電死亡事故や波及事故においては周辺の需要家を停電させてしまうなど、社会的に大きな影響を引き起こすことになります。自家用電気工作物の設置者は、電気主任技術者を中心に、自主保安体制が適切であることを確認し、必要に応じて計画的な設備更新を実施するなど、電気保安のより一層の充実に向けた取組みを行う必要があります。「電気の保安」は関係する皆様方の一つ一つの実績の積み重ねで成り立っております。改めて電気の大切さ、電気事故の怖さを認識していただき、電気事業法及び電気保安行政へのご理解ご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。Ⅱ 総 括(まとめ)

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