電気と保安 2015年 冬季号 Vol.260 東北電気保安協会
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東東急遽用意したレンタルの発電機8電気設備の故障はいつも突然です。突然の故障から思わぬ停電となった事例を紹介します。ひどい雷雨となっていた朝7時前、お客さまから「付近の信号やお店の電気は点いているが当病院だけ停電しています。」と幣協会の夜間受付電話に連絡がありました。受付当番者からその連絡を受けた私が現場に到着したところ、非常用予備発電装置が運転しており、最低限の電源は確保できていましたが、厨房機器や多くの医療機器が使用できない状況となっており、お客さまの宿直の方は非常にお困りの様子でした。調査を開始したところ、高圧受電設備に何らかの異常が発生し、高圧気中負荷開閉器に付属している保護装置が動作して停電に至ったものと判明しました。これらの状況を協会事業所に連絡し、迅速に調査するための測定機材の手配と対応要員の増員を要請しました。しかし、その時事業所には検査員は誰も残っておらず、それぞれ予定のお客さまへ向かっていました。緊急事態であることからその内の一人に連絡し、訪問予定のお客さまに何とか日程の変更を承知していただいた上で事故現場に駆けつけてもらいました。その効果もあり、異常の原因は、設置後25年経過の高圧ケーブルが、当日の雷の影響で損傷したものと判明しました。しかし、ここからが大変でした。損傷した高圧ケーブルは地中に埋設しており、しかも140m程の長さがありました。これは資材の調達等に数日を要す大規模な工事であり、すぐさま電気工事店に高圧ケーブルの発注と緊急工事を手配しました。また、お客さまには本日中の復旧が困難であることを説明し、その間は病院運営に必要な電源(通信機器、ポンプ、ナースコール、冷蔵庫など)をレンタルの大型発電機2台で対応することにしました。復旧工事が完了したのは停電事故発生から2日目の夕方で、この間病院は休診とせざるを得ませんでした。その間は入院されている方の食事が作れず、また、エレベーターが使用できないことから車いすの方の移動が制限されるなど大変不便な様子でした。「ケーブルを含めた高圧受電設備が更新推奨時期にきているのは点検時に説明を受けていましたが、まさか、こんなに突然故障するとは・・・」とびっくりされておりました。また、「緊急電源を手配していただいたことから、入院患者様のご容態も変わりなくほっとしています。保安協会や工事会社の方には大変お世話になりました。」と感謝のお言葉を頂きました。今回の故障による停電で、病院は休診を余儀なくされました。工場などの場合も突然の操業停止などで生産ができなくなる場合がありますので、計画的に設備更新していただくようお願いいたします。白河事業所 大竹 守雄〔状況〕〔調査・原因〕〔復旧〕故障は突然やってくる―受電設備の更新は計画的に―〔お客さまの声〕〔まとめ〕検査員の現場報告3

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