電気と保安 2014年 夏季号 Vol.258 東北電気保安協会
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クラゲシアターは世界最大級直径5mの円形水槽を設置加茂水族館周辺の特徴的な地形を表した地図す。私は、48年間ここにいますので、ほぼここでの歴史と同じです。この間、最初にお話しした湯野浜温泉までの電車は昭和50年に廃線となりました。米田:長い歴史ですね。ところで、なぜクラゲの展示を思いつかれたのですか?村上:昭和39年にこの場所に開館した水族館は、元の場所を譲ることを市が地元に納得させるためだけのもので、小さく、展示内容に乏しいものでした。建物が古くなるにつれて入館者も減少していきました。今年で閉館するというとき、平成9年のことでしたが、サンゴの水槽から3ミリくらいのものが泳ぎ出しました。ポリープがサンゴについてきたのです。副館長だけが興味をもって餌をやっていたら、ポリープがクラゲになりました。6月ごろ展示しましたら、お客が喜んでいる。立ち止まってワーワーキャーキャー騒いでいる。 それは、逆さクラゲ、泳がないクラゲでした。私が水槽の後ろに回って水を回すと、さも泳いだように見えました。それでまた歓声が上がりました。 ただ、クラゲの生態も、飼い方も分からないので、わずか2週間くらいの命でした。続けるうちに少しずつ飼い方が分かってきて、展示する種類も増えてきました。すると来館者も増えたのです。それを励みに努力を続けました。クラゲの飼い方を他の大きな水族館に教えてもらおうとしたこともあったのですが、教えてもらえません。自分で考えるものだといって断られました。自分たちで努力を続けるうちにだんだん分かってきました。クラゲが死ぬ理由も分かってきました。専用の水槽でないと飼えないということが分かってきました。米田:普通の水槽とどこが違うのですか?村上:水がゆったりと回転する必要があります。それに水がよどむ場所があったり、パイプなどぶつかるものがあるとだめなのです。クラゲは泳ぐ力が弱くて無限の流れに乗っているのです。それを水槽の中で再現しなければなりません。米田:海の中がそういう状態なのですね。村上:そうです。もしクラゲが止まればそこによどんで、それが長ければ死んでしまいます。今の副館長が手書きで書いた設計図で仙台の業者さんに作ってもらったのが最初のクラゲ水槽です。 クラゲの飼い方も分かってきて、水槽も開発し、3年で8種類になりました。その当時日本一は11種類だったのでもう少しで日本一に手が届くところまでいきました。それで4年目にこちらが日本一にな3加茂水族館酒田鶴岡サンゴの水槽から生まれたもの(発展期1)自分たちで開発したクラゲの水槽(発展期2)クラゲに出会うことで、どん底から立ち直った世界最大級のクラゲシアターを設置した水族館

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