電気と保安 2014年 夏季号 Vol.258 東北電気保安協会
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力率表示箇所電力量計の拡大写真※1 【力率とは】電気は、電圧と電流が一緒に働いて仕事をしており、両者が「ズレ」ると効率が低下します。両者が同じタイミングで働く時が最大効率となり、この状態を力率100%と言いますが、0〜100%の範囲で変動します。負荷状況によりズレが発生した場合、修正用にコンデンサーを用いたりします。これを力率改善と言います。開放となっていた開閉器(現状は投入状態)その日はお客さまにお伺いして、いつも通りに月次点検を開始しました。最初に引込柱に設置してある電力量計を確認したところ、電力の使用量は前回点検時と比較して、大きな変化はありませんでした。一方力率※1は、通常100%の値を示していましたが、その時には95%まで低下していました。(おや?)直ぐにお客さま事務所に戻って、いつも話を伺っている連絡責任者の方に変わったことがなかったかお聞きしたところ「そう言われれば最近電気料金が高くなったような・・・」という返事でした。(やっぱり!)早速キュービクルを開け、外から内部を慎重に目視点検したところ、高圧コンデンサー用の開閉器が開放状態であることが確認できました。これ以上の点検は停電が必要なことから、その日はここで一旦終了しました。次の休日に再度訪問し、高圧コンデンサーの点検、試験を実施しましたが、異常は認められませんでした。また、本体に貼付けていたサーモラベル(外箱に貼るだけで温度を色で表示するシール)にも温度上昇の状況は見受けられませんでした。高圧コンデンサーには保護センサーが付いていますが、それが誤動作したことが開閉器開放の原因と推察されます。お客さまと相談の結果、今のところ安全に関する異常ではないこともあり、開閉器を投入し、様子をみることにしました。その後の異常はありません。「電気料金が若干高くなっただけ、と軽く考えていましたが、実は開閉器が切れていたなんてビックリですね。でもすぐに対応してもらうことができて本当に良かった。」そして「これからも些細なことでもお話しして問題を早期に改善しながら電気を使用したいものですね。」とのお話がありました。このようなちょっとした気づきからお話を深めたことにより、お客さまのお役に立てて大変良かったと思います。今後も小さな疑問もそのままにせずお客さまとのお話から問題点を確認し、解決出来るよう点検に臨んでまいります。東北電力(株)の力率割引・割増料金制度を利用すると、力率改善努力で安い基本料金が可能81828385~9495料金標準力率8486力率低下力率が1%上がる毎に基本料金が1%下がる 96979899100%1力率が1%下がる毎に基本料金が1%高くなる前回の力率力率100%では基本料金-15%〔発見〕〔調査〕〔原因・復旧〕〔お客さまの声〕〔まとめ〕小さな疑問 お客さまへの問いかけで確信!―ちょっとしたお話から始まる―八戸事業所 江渡 勇規検査員の現場報告東東

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