電気と保安 2014年 春季号 Vol.257 東北電気保安協会
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17表1 実施時期及びスケジュール2013年11月13日、電力システム改革に関する改正電気事業法が成立しました。これは、東日本大震災の影響による電力需給の逼迫状況を踏まえ進められた電力システム改革の第1段階となります。以下、具体的な内容について説明いたします。国は電力システム改革の目的として、「安定供給の確保」「電気料金の最大限の抑制」「需要家の選択肢や事業者の事業機会の拡大」を挙げており、これらを達成するために、(1)広域系統運用の拡大(2)小売及び発電の全面自由化(3)法的分離の方式による送配電部門の中立性の一層の確保という3つの改革を、3段階に分けて進めることとしています。(表1)まず、第1段階では、2015年を目途に「広域的運営推進機関(仮称)」を設立します。広域的運営推進機関は、例えば、計画停電を防ぐため、電力に余裕がある電力会社から電力が足りなくなりそうな電力会社に対し、地域を越えて電力を融通するよう指示することで、広域的な運営による電気の安定供給の確保に資することを目的としています。具体的な業務内容は次のとおりです。(1) 需給計画・系統計画を取りまとめ、周波数変換設備、地域間連系線等の送電インフラの増強や区域(エリア)を越えた全国大での系統運用等を図る。(2) 平常時において、各区域(エリア)の送電事業者による需給バランス・周波数調整に関し、広域的な運用の調整を行う。(3) 災害時による需給逼迫時において、電源の焚き増しや電力融通を指示することで、需給調整を行う。(4)中立的に新規電源の接続の受付や系統情報の公開に係る業務を行う。第2段階では、家庭やコンビニエンスストアなどの中小規模の電気利用者が電力会社以外の小売事業者からも自由に購入先を選べるようにする「小売り業参入の全面自由化」が予定されています。また、最後の第3段階では、電力会社から送配電部門を独立させる「法的分離」と「料金の全面自由化」が予定されています。【第1段階】広域的運営推進機関(仮称)の設立【第2段階】電気の小売業への参入の全面自由化【第3段階】法的分離による送配電部門の中立性の一層の確保、電気の小売料金の全面自由化※経済産業省「電気事業法の一部を改正する法律案の概要」を基に作成実施時期2015年を目途に設立2016年を目途に実施2018年から2020年までを目途に実施スケジュール2013年臨時国会にて法案成立2014年通常国会に法案提出予定2015年通常国会に法案を提出することを目指す。電力システム改革に係る電気事業法改正内容について

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