電気と保安 2014年 春季号 Vol.257 東北電気保安協会
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町作3岩泉ヨーグルトは、岩手県岩泉町産の高品質原料乳から作られる※岩泉乳業さまの商品は、青森、岩手及び宮城県内のスーパー店頭のほか、ホームページのオンラインショップでもお求めになれます。 URL:http://www.iwaizumilk.co.jp/わゆる「後発酵製法」です。業界では「前発酵」によって短時間で効率的に仕上げる方法が主流ですが、当社ではそうした方法の真逆な作り方をしています。長時間発酵はコストがかかります。製造に2日間必要なので、電気代がかかる、人件費もかかる。量も大量には作れないというマイナス面があります。しかしプラス面としては、非常に美味しい。添加剤を入れなくてもきちんと固まってくれる。当社は、このお金と手間のかかるタイプの作り方で、美味しい商品を作っているということです。─ 後発酵というのは、品質管理がたいへんではありませんか。 発酵という生き物相手の作業ですので、温度と時間の見極めが重要です。現在の品質にたどり着くまでにずいぶん時間をかけました。どの温度でどのくらい発酵させるとどんなものができるか、何回も何回も試作を重ねました。そうして確立された管理方法で、いま作っています。抜き打ちで開けてでき上がりを確認します。非常に徹底した管理をさせていただいています。 お客さまに渡ってからどう変化するかということも含めて、きちんと説明するのがメーカーの仕事だと考えています。特に食品というのはこういう時代なので、きちんと製造管理してお客さまに理解をしていただかないと長くは続かないと思います。─TPPがもたらす影響としては、どうお考えですか。 おそらく国際競争力という点で、酪農に携わる人たちには厳しくなると思っています。少なくとも地域の皆さんが生産した牛乳を、100%当社で商品にして確実に売るという流れを早めに構築したい。ヨーグルトや今後計画しているチーズも、きちんとしたブランドを作り、責任を持って当社が販売していくという方法を確立しないと、地域の酪農家が安心して生産に励めないと思います。そこで、今度3つ目の工場を建てることにしました。これでこの地域で生産した原料を全部使い切ることができるようになります。酪農家の皆さんも作っただけ全部引き取ってくれですか。 難しいのは、作ることよりどうやって売るかということです。作り手の思いをどうお客さまに伝えられるか、買っていただけるかというところにいちばん神経を使います。きちんと伝えて納得してもらわないと売れません。 ヨーグルトは、私が一生懸命歩いて営業をかけたということも基本にありますが、それを町民の皆さんが自分の親戚や遠くにいる知り合いに「岩泉にこんな美味しいものができたよ」と、どんどん私どもの商品を送って発信してくれました。まさに町ぐるみでこの商品を育てて全国に発信したということです。今では県内と県外が半々ぐらいです。 当社でいちばん怖いのは停電です。発酵時間が通常より4倍も5倍も長く、完成までに2日間を要するので、その間に停電してしまうと、温度が変化してしまい、商品として出せなくなります。震災の時は2日くらい停電してしまって、製造途中の商品はすべて廃棄せざるを得ませんでした。せっかく酪農家の皆さんが汗水たらして生産した生乳が無駄になってしまいますので、停電だけは怖いと思っています。保安協会さんには、これからもぜひ様々な面でアドバイスをお願いできればと思います。─ 大きな自然災害はどうしても避けられない場合がありますが、普段の電気回路の故障や漏電などがないように、私たちも万全な点検をするようこころがけております。これからも電気の保安を通して、御社の良質な商品製造の一助になるよう努めたいと思います。今日は、岩泉乳業さんのすばらしい商品作りについて聞かせていただき、たいへんありがとうございました。「岩泉ヨーグルト」を中心に、「のむヨーグルト」「ヨーグルトプレーン」「ソース」「ヨーグルトドレッシング」など魅力的な商品展開るなら、安心して仕事に励めるし後継者もできやすいと思います。そこまでやれたら、この会社の目的が達成されるのかなと考えています。─ 商品作りで、いちばんたいへんなのはどんなことぐるみで全国に発信ったものを無駄にしないために─ 先ほど、長時間発酵には電気代がかかるというお話がありましたが、工場と電気との関わりについてお聞かせください。地域の酪農家の未来のために、良質の地域ブランド商品を開発

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