電気と保安 2014年 春季号 Vol.257 東北電気保安協会
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①放射温度計②リークホン放射温度計を使用した温度測定リークホンを使用した高圧引込ケーブル箇所の絶縁診断試験赤外線熱画像診断測定器を使用した電線接続部の過熱箇所撮影例1 今回は、無停電による年次点検で、キュービクル内の温度が異常に高くなっている箇所を発見し、電気事故を未然に防止した事例をご紹介します。 お客さまからは「ていねいに何回も点検していただいたおかげで不良箇所を探し当てることができ、助かりました」と、大変喜んでいただきました。このこともあり、今回の点検作業で使用した各種の測定器の活躍も併せてご紹介しようと思います。 次に、「②リークホン」による測定を行いました。これは絶縁不良部や接触不良部から出ている超音波を感知する測定器です。測定を開始したところ先ほどの高温部で異常を示す表示ランプが点灯し、同時に「ガリガリ」という特徴的な音が出たことで、ここに何らかの不良があると推定できました。 そこでお客さまの連絡責任者に、直ちに停電して詳細な点検が必要である旨の説明を行いました。大変驚かれた様子でしたが、日程調整をお願いし、休日に停電点検を実施することになりました。【発見】 無停電年次点検の場合は、通電状態で設備を点検するため、離れた位置からでも測定できる「①放射温度計」を使用します。 これは目標物から出る赤外線を感知し、その箇所の表面温度を表示するものです。 まずキュービクルの扉を慎重に開け、感電しないようキュービクルの外から温度測定を開始しました。すると高圧引込用ケーブルの端末部で、3本の内の1本が80℃と異常に高い温度を示しました。【原因と復旧】 詳細な点検として、停電のうえ、「③絶縁抵抗測定器」を使って、直接、絶縁抵抗の測定を行いました。その結果、やはり危険なレベルと確認できました(正常な前回測定時は300MメグオームΩでしたが、今回測定時は1MΩと急低下)。 原因は、20年以上にわたり長期間使用したことによる経年劣化と推定されます。このまま更に温度上昇が続けば、ケーブルが地絡となって、継電器が動作し、突然の停電になりかねないとお客さまに説明したところ、直ぐにケーブル交換の工事を行っていただき安全な設備となりました。【お客さまの声】 「いつもの年次点検でもあり、特に問題なく終了するだろうと考えていましたが、電気事故になるおそれがあると言われて驚きました。突然の停電なら大騒ぎとなり、それに係る損失などを考えると未然に防ぐことが出来て本当によかったと思っています。我々には、2011年の東日本大震災時の停電の記憶がまだまだ残っていますから。測定も①、②、③のように段階的に行うので感心しました。」とのお話をいただきました。【まとめ】 放射温度計では、設備内容にもよりますがキュービクル内の電路の最低でも30箇所程度を測定し、リークホンでは電気が流れる主な電路全体を丁寧に確認します。 当協会ではその他にも数多くの測定器を準備しています。例えば「赤外線熱画像診断」は、物体表面から出る赤外線を基に温度分布を画像表示する高性能機器で、広範囲の確認が瞬時にできます。 上記の機器も含め、約30種類もの試験診断が可能です。今後とも、お客さまの設備状況に合わせ最適な方法で安全確認を行っていきたいと考えております。協会保有の多種類の測定器が大活躍!!―オフィスビルの停電を事前に回避―仙台中央事業所 日高 伸幸検査員の現場報告東東

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